手術は3カ月先。その間ホルモン療法は?メリットは?

回答者・古賀文隆
都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2016年7月
更新:2016年6月

  

70歳の義父が前立腺がんと診断され、ロボット支援手術を受けることになりました。ただ、手術は3カ月も先になるとのことで、その間何かできないものかとネット検索したところ、同じような状況の方が手術前に男性ホルモン除去療法(ADT)を受けられたとありました。今の病院では、手術前に治療をする話は出ていないのですが、ADTをするメリットはありますか。父のグリソンスコア(GS)は5+4です。

(45歳 男性 長野県)

ADTを行ったほうがよいという
エビデンス(科学的根拠)はない

都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

前立腺がんは進行が緩徐なので、3カ月の待機期間でホルモン療法を行うことは、一般的にはないと思います。ただ、患者さんの仕事の都合など何らかの理由があり、高リスクでも1年以上手術を待たなくてはならない場合や、患者さんの不安がとても強い場合には、ADTを行うことがあります。

手術までの待機期間中にADTを行うと、病状の進行を防ぐ効果は期待できるかもしれません。しかし、ADTを行ったほうがよいというエビデンス(科学的根拠)はありません。

ADTを行うことのメリットは患者さんが安心することで、デメリットは費用がかかることと副作用があることです。

ホルモン療法の副作用は、ホットフラッシュ(紅潮)や骨密度の低下、意欲の低下のほか、メタボリック症候群を発症するリスクが高まることなどです。お父様の不安が強くないのであれば、あえてホルモン療法をする必要はないと思います。

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