術後、骨転移の可能性があると言われたが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2020年12月
更新:2020年12月

  

2019年6月にPSA(前立腺特異抗原)値が6となり、生検を行うと14本中9本にがん細胞が見つかりました。グリソンスコア(悪性度分類)は8で、前立腺摘出手術を受けました。

術後、0.01だったPSA値が徐々に上昇し、2020年8月の検査では0.18まで上昇しました。

主治医からは骨転移の可能性があると言われ、心配でなりません。今後どのような治療法があるのかお教えください。

(67歳 男性 神奈川県)

放射線治療かホルモン療法が

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

前立腺がんに対する前立腺全摘除術後に一旦0近くまで低下したPSA値が0.2を越えて上昇を続ける場合、「術後PSA再発」と診断されます。術後PSA再発の診断の問題点は、PSAが極めて鋭敏な腫瘍マーカーであるために、再発時に通常の画像診断(骨シンチ、造影CTやMRI)を実施しても、ほとんどの症例で再発部位を捉えられないことです。
PSA再発の大部分は摘除した前立腺周囲のがん細胞遺残が原因であり、前立腺周囲に放射線治療を行うこと(救済放射線治療)で、過半数の症例にPSAの低下が得られます。

最近、放射線治療に短期間のホルモン療法を併用すると、より高い治療効果を得ることができるとも報告されています。救済放射線治療にも関わらずPSAが上昇し続ける場合、骨転移を含めた前立腺から離れた部位の転移再発の可能性を考え、画像診断で病巣検出を試みます。

画像診断で検出された転移再発病巣の数が少なければ、完治を目指した治療(放射線治療など)を行うこともあります。多発転移の場合はホルモン療法を行います。画像診断で責任病巣が検出されない場合でも、病気の進行を抑えるためにPSAの推移を見ながらホルモン療法を考慮します。

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