がんかどうかのグレーゾーンと言われ生検を勧められたが

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2020年12月
更新:2020年12月

  

70代の男性です。定期的にPSA値を測ってもらっていますが、PSA値は5.8でここ数年変化ありません。しかし、主治医からは「がんかどうかグレーゾーン」と言われ、生検を勧められました。確か70歳以上のPSA基準値は6.5以下と書物に書かれていましたが、生検を受けるべきでしょうか。生検を受けた場合、そのリスクがあれば教えてください。

(73歳 男性 広島県)

まずはMRI検査を受けてから判断を

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

70歳以上のPSA基準値は4.0以下であり、PSA値5.8は軽度高値ということになります。ご相談者には、まずはMRI検査を受けて、生検の必要性を判断することをお奨めします。

MRIは、治療を必要とする悪性度の高いがんの大部分を検出し、治療を必要としない低悪性度のがんは検出しない特性があります。以前は、PSA値が高いとすぐに前立腺多カ所生検を奨められていました。

最近、PSA高値の男性に対して、従来の多カ所生検を行うより、MRI検査で陽性の場合のみ、陽性部位の標的生検を行うほうが治療を必要とするがんを高率に検出し、治療を必要としないがんの過剰診断を減らすという研究結果が報告されました。本邦でも実際にMRI所見に基づく標的生検を実施する施設が増えつつあります。

生検のリスクとして、疼痛、血尿、血精液症、直腸出血、敗血症などが挙げられます。生検で針を刺す経路には、経直腸(肛門から)と経会陰(けいえいん:肛門の腹側の皮膚から)があります。経会陰的生検では、直腸出血と敗血症のリスクは殆どありません。

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