ステージⅢでホルモン治療。どのくらい続けるのか
精密検査を受けたところ、浸潤型前立腺がんステージⅢと診断され、ホルモン療法を行うことになりました。主な副作用としてどのような症状があるのでしょうか。治療中とくに注意することはありますか。また、ホルモン療法はどのくらい続けなければいけないものでしょうか。
(75歳 男性 東京都)
A ホルモン療法単独は完治が期待できない。治療中はカロリー制限や運動を
がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
一般的に、重篤(じゅうとく)な併存症がない75歳の局所進行性前立腺がん(ステージⅢ)の患者さんの場合、完治を目指して、手術療法または放射線療法(ホルモン療法併用)を考慮します。
手術療法単独で取り切れない恐れがある場合は、ホルモン療法(男性ホルモン除去療法)を併用することがあります。放射線療法でホルモン療法を併用する場合、ホルモン療法の期間は2~3年になります。ホルモン療法単独では、前立腺がんを弱らせるものの、完治は期待できません。
長期ホルモン療法は、男性の健康度やQOL(生活の質)を低下させることが知られています。具体的には、いわゆるメタボの傾向が強くなり、血管を病むことにより心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まり、寿命を短くしてしまうリスクがあります。
また、性機能、筋力や骨密度の低下、関節痛や女性化乳房、人によっては意欲低下や認知症の傾向が出る場合もあります。このような理由から、転移のないがんに対して、標準治療としてホルモン療法を単独で行うことは国内外の診療ガイドラインで推奨されていません。
ホルモン療法中は、メタボ対策として摂取カロリーの制限や運動を意識的に行うことが重要です。運動は筋力や骨密度を維持する効果もあり、健康度やQOLの維持に有効と思います。