凍結療法はどのような治療か

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2021年9月
更新:2021年9月

  

前立腺がんで放射線治療を行なったのですが、再発してしまいました。「手術は困難で、放射線の再照射も出来ない。ホルモン治療しか残されていないが、局所の再発に、ホルモン治療を行なうことは副作用のこともあり避けたい」とも言われました。そうなのでしょうか。最近、凍結療法のことを知りました。この凍結療法について、どのような治療なのか教えていただけないでしょうか。現在は保険適用されていなくて自費診療だそうですが、費用に見合う効果は期待できるものでしょうか。

(68歳 男性 東京都)

凍結療法は実施機関が限定されている

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

放射線治療後の再発は、「PSA値が治療中または治療後の最低値より2以上増えた状況」と定義されます。重要なのは〝前立腺内の再発〟か、それともリンパ節や骨などの〝遠隔臓器での再発〟かどうかです。治療に先立ち、画像診断や前立腺針生検で、再発部位を明らかにしておく必要があります。

前立腺内の再発の場合、手術療法や小線源療法、凍結療法などで2度目の治癒が可能となります。

手術療法(救済前立腺全摘除)は、治癒の可能性が高い治療法ではありますが、放射線治療による周囲の癒着や組織虚血のため術後合併症が多く、QOL(生活の質)が低下するという問題点があります。

小線源療法(内部照射)や凍結療法は、再発がんが前立腺内で限局している場合に適応があると思われます。凍結療法は、麻酔下に前立腺に針を刺し、針先を冷却することでがん細胞を凍結・破壊する治療法です。日本では実施施設がかなり限定されるため、適応などの詳細は、同治療を提供している医療機関に問い合わせることをお奨めします。

診断時の前立腺がんのステージおよび悪性度が低く、再発に至るまでのPSAの上昇速度が緩徐かつ遠隔転移を認めない場合、経過観察という選択肢もあります。

ホルモン療法は病勢制御の点では有効と思われますが、長期継続治療による副作用として、メタボの傾向(血中コレステロールや中性脂肪、血糖値の上昇と筋力や骨密度の低下)を強め、長期治療により心血管系の合併症(心筋梗塞や脳梗塞)のリスクが高まることが知られています。

また、去勢抵抗性前立腺がん(ホルモン療法が効かないがん)への進行も問題点として挙げられます。これらの問題点を回避する目的で、間欠的ホルモン療法も行われています。

この治療は、例えばPSA値が4を越えた時点で3カ月間ホルモン療法を行いPSA値を低下させ、次にPSA値が4を越えるまで経過観察を行うことで、病勢を制御しつつホルモン療法の治療期間を短縮させることが可能です。

主治医とよく相談の上、治療法を選択されることをお奨めします。

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