重粒子線治療のメリット、デメリットは

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2021年9月
更新:2021年9月

  

前立腺がんでも重粒子線治療が保険適用になっていると聞きましたが、どのような場合に手術ではなく重粒子線治療を受けることができるのでしょうか。また、手術と較べてメリット、デメリットを教えてください。

(56歳 男性 静岡県)

デメリットとして再発時はホルモン療法の可能性が高い

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

重粒子線治療の適応は、遠隔転移やリンパ節転移のない限局がんまたは局所進行がんです。いわゆる限局がんの場合、手術療法でも放射線療法でも10年後に前立腺がんで亡くなる可能性は極めて低いと報告されており、「前立腺がんで亡くならない」ことを目的に治療法を選択するならば、手術療法でも放射線療法でも目的は達成できると言えます。

重粒子線治療は放射線外照射療法の1つであり、現在一般的に前立腺がんの治療に用いられている強度変調放射線治療(IMRT)と比較して治療成績で勝るという強いデータはありません。殆どのケースで男性ホルモン除去療法を半年間(中リスクの場合)ないし2−3年間(高リスクの場合)併用します。

放射線外照射療法のメリットは、体に傷がつかないこと、入院を必要としないこと、手術療法と異なり尿漏れが起きにくいことです。性機能も比較的温存されますが、ホルモン療法により性欲や勃起機能は低下します。

デメリットとして、再発時の救済治療として、ホルモン療法が選択される可能性が高いことが挙げられます。治療後の再発の定義は手術療法と放射線療法で異なり、とくに後者ではホルモン療法の効果持続により再発までの期間が延長されるため、両者の再発率を単純に比較することはできません。

手術療法後の再発の場合、摘除した前立腺周辺への救済放射線療法で完治を期待できます。一方、放射線療法後の再発は、救済手術療法で根治可能であってもQOL低下と高い周術期リスクから現実的な選択肢とならず、実際にはホルモン療法が選択されるケースが殆どです。

ホルモン療法は、男性の健康維持に重要な男性ホルモンを体から除去してしまう治療であるため、健康度低下のリスクを伴います。

手術療法では、排尿状態や性機能は治療直後で大きく低下し、その後は回復していきます。放射線療法では、治療中は排尿状態や性機能に著しい変化はないものの、治療後に時間をかけて徐々に低下していきます。

治療後の排尿状態や性機能に関するQOLを手術療法と放射線療法とで比較した研究によると、治療後5年間は、放射線療法のほうが手術療法より良好であったものの、5年目以降は手術療法が逆転して良好であったと報告されています。

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