治療法はホルモン療法しかないのか
2021年7月、頻尿のため糖尿病治療で通院する病院の泌尿器科でPSA値を測定すると800あり、針生検、MRI、骨シンチグラフィ検査を受け、骨盤に転移がある前立腺がんと診断されました。
骨盤転移は4カ所、CTで肺に小さな影が数カ所見つかりました。グリソンスコアは4+4=8でした。早速ホルモン治療としてゴナックス注射を受け、9月のPSA値は25.7でした。主治医から「骨転移に放射線治療は効果がない」と言われましたが、そうなのでしょうか。また「痛みが出ればその都度、対処する」と言われました。ホルモン療法しか治療法はないのでしょうか。
(73歳 男性 東京都)
A 放射線治療も選択肢として考慮される
がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
ご相談者のように骨と肺に転移病巣が少なくとも5カ所以上ある場合、一般的に前立腺がんに対する治療はホルモン療法(男性ホルモン除去療法)が主体になります。
その場合、骨盤骨転移に対する放射線治療は痛みがある場合に、痛みを和らげる目的で実施されます。ただし、4カ所の骨盤骨転移病変が放射線照射可能な狭い領域に限局している場合、骨転移病変と原発巣(前立腺)に対し根治的照射線量による放射線治療も選択肢として考慮されるかもしれません。
さまざまな好条件が揃う場合のみに実施可能な治療ですが、実施されればホルモン療法単独と比較して良好な治療経過が期待できると思います。放射線治療医にもご相談されることをお勧めします。