悪性度が高い場合の治療法は
2020年1月に測定したPSA値は3.86だったのですが、12月には12.32と急上昇し、MRI検査で前立腺の辺縁域に10㎜の陰影が見つかりました。主治医から針生検を受けるように勧められています。仮に生検でがんであることがわかった場合、悪性度はどのように判定するのでしょうか。悪性度が高い場合はどのような治療法があるのでしょうか。
(64歳 男性 栃木県)
A より強度を高めた治療が選択される
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
前立腺がんの悪性度は、病理学的には針生検組織の「グリソンスコア」で評価されます。グリソンスコアは、前立腺がん組織の構築の乱れの程度を3~5点に点数化したもので、最も優勢ながん組織のスコアと2番目に優勢ながん組織のスコアの合計で悪性度を評価し、合計点が高いほど悪性度が高いと判定します。
最近はグリソンスコアの合計をわかりやすく5段階に表記したグレードグループが用いられています。グレードグループ1は低悪性度、2と3は中等度、4と5は高悪性度と判定します。
転移のない前立腺がんの場合、病理学的悪性度単独ではなく、PSA値と画像や触診上の前立腺内のがんの分布(T病期)を組み合わせたリスク分類により病状を評価します。
具体的には、グレードグループ1かつPSA値10未満かつ、がんが前立腺内に留まり片側半分未満(T1c – T2a)の場合は低リスク、グレードグループ2または3、またはPSA値10以上20未満、またはがんが前立腺内に留まり片側半分以上(T2b – T2c)の場合は中リスク、グレードグループ4以上、PSA値20以上、がんの前立腺被膜外浸潤(T3a – T3b)のいずれかがある場合は高リスクと診断されます。
リスク分類と患者さんの年齢・基礎疾患の有無や希望を考慮して治療法(PSA監視療法、手術療法またはホルモン療法併用放射線療法)を相談していくことになりますが、高リスクがんではより強度を高めた治療(手術療法の際のリンパ節郭清の範囲や放射線療法の際のホルモン療法の期間など)が選択されます。