尿漏れを防ぐ方法は
前立腺がんの手術後、尿漏れが続いていて、大変困っています。その原因と尿漏れがなくなる方法について教えてください。
(67歳 男性 東京都)
A 骨盤底筋を鍛えることや内服薬が有効な場合も
がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん
前立腺全摘除後の尿漏れの原因は、手術の結果、尿が漏れないように尿道を締める筋肉の尿道括約筋(にょうどうかつやくきん)の長さが短くなったことや、尿道括約筋を支える骨盤底筋や筋膜の構造が変化したためで、手術直後が最もひどく、時間経過とともに徐々に回復していきます。
尿道括約筋は排尿の途中で尿を止めるときや、肛門を締めるときに収縮する筋肉で、「骨盤底筋体操」などで鍛えることが可能で、尿漏れからの回復を早める効果を期待できます。
筋肉を鍛えて回復させることが理想的ですが、クレンブテロールなどの内服薬が有効な場合もあります。術後数年経過しても殆ど全部漏れてしまうような重篤な尿失禁の場合、人工括約筋埋め込み術の適応になります。
都立駒込病院では、術後尿失禁を少なく抑えるため、尿道括約筋の長さと骨盤底筋を極力温存するほか、手術手技にさまざまな工夫を凝らしています。その結果、尿漏れがないかあっても軽微(下着を汚さないよう、念のため尿漏れパッドを1日1枚使用)という状態の患者さんの割合は、手術直後で7割以上、術後3カ月で9割以上という成績を得ています。