副作用がつらくホルモン療法を再開したくない

回答者●古賀文隆
がん・感染症センター都立駒込病院腎泌尿器外科部長
発行:2022年11月
更新:2022年11月

  

2018年、PAS値が9.8に上昇し、MRI検査の結果、浸潤型前立腺がんステージⅢと診断されました。生検ではグリソンスコアは8と高く、手術は不可と言われ、ホルモン療法を開始しました。最初はカソデックスの内服を開始、その後、リュープリン注射に切り替わりました。ホルモン療法の副作用がつらく、別の病院で陽子線治療を39回受け、2021年11月に元の病院に戻りました。主治医から「PSA値が3.6以上になったらホルモン療法を再開する」と言われていますが、その数値の根拠はなんでしょうか。できればホルモン療法は再開したくないのですが。現在のPSA値は2.6で最も低かったのは今年の3月の1.53です。

(76歳 男性 埼玉県)

まず病気がどこで再発しているか調べる

がん・感染症センター都立駒込病院
腎泌尿器外科部長の古賀文隆さん

放射線治療後のPSA再発は、「男性ホルモン除去療法(ADT)を併用している期間のPSA最低値から2を超えて上昇を続ける場合」と定義されています。PSAが3.6を超えたら治療を提案されている理由はそこにあると思います。

PSAが3.6を超えて上昇を続ける場合、まず調べるべきことは、病気がどこで再発しているかということです。そのために全身のCTや骨シンチグラム、前立腺のMRIなどを行うことになりますが、「全身MRI」検査ができるのであれば、1つの検査で全身の状態を把握することが可能です。全身MRI検査ができる施設は限られているので主治医と相談下さい。

治療方針は、前立腺がんの再発部位によって異なります。前立腺内の再発であれば、すでに治療線量の放射線を照射した臓器に再度放射線を照射することはできないため、ADTが現実的な治療選択肢となります。

放射線を照射していないリンパ節や骨などに1つか2つの転移が見つかった場合は、転移病変に対する放射線治療も選択肢となりますが、放射線治療を行う場合は短期間でもADTを併用したほうがより高い治療効果が期待できます。

信頼性の高いデータの蓄積がないためADTの治療期間について明確な基準が設定されていないので、現実的には相談者に発現する副作用と相談しながらADTの期間を決めていくことになるかと思います。

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート12月 掲載記事更新!