高線量率組織内照射を受けてもよいか

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2010年6月
更新:2013年12月

  

前立腺がんの疑いがあって、針生検を受けました。12カ所を検査して、前立腺の左に3カ所、右に1カ所、合計4カ所からがん細胞が見つかったとのことです。骨に転移しているかどうかの検査も、受けました。幸い、骨への転移はないとのことです。担当医から前立腺がんと言われて、前立腺全摘術を勧められています。ただ、全摘手術後の副作用を考えると、放射線治療のほうがよいと思っています。小線源療法の中で、高線量率組織内照射という治療法があると知人に教えてもらいました。できれば、この高線量率組織内照射を選びたいと考えています。ご意見を、お聞かせください。

(山梨県 男性 68歳)

A 再発リスクに応じて適切な放射線治療を選択する

前立腺がんの放射線治療は、組織内照射である小線源療法と体の外から放射線をあてる外照射に大別されます。

前者の小線源療法には、(1)前立腺の中に放射線を出す小さなカプセル(シード)を永久的に埋め込んで、がん細胞を攻撃する永久留置法と、(2)前立腺の適切な場所に針を刺して、放射線が出る線源を通して放射線を集中的に照射したあと、針を抜き取る高線量率組織内照射の2つがあります。

2つの治療法は、再発リスクの違いによって使い分けています。

再発リスクは、PSA値とグリソンスコア(前立腺がん特有の組織異型度分類)、臨床病期によって、低リスク群・中リスク群・高リスク群の3つに分類されます。一般的には、(1)の適応は低リスク群と中リスク群の一部です。(2)の治療対象は、中リスク群・高リスク群です。

ご相談者の再発リスクが、低リスク群なら、(1)でも十分だと思います。高リスク群なら、(2)の治療選択もあります。

(1)のメリットは、入院期間が2~3泊と短いこと、日本でもかなり普及しているので治療を受けられる施設が多いことなどです。

(2)のデメリットは、治療を行っている施設が数少ないため、治療が受けにくいこと、外照射と組み合わせた併用治療をすることが多いため、3~4日間の入院期間のほかに、通院による外照射の治療期間が1カ月近くかかり、治療期間が長くなることなどがあります。

(1)と(2)はどちらがよいかではなく、再発リスクに応じて、適切な放射線治療を選ぶことになります。

なお、放射線治療には、小線源療法のほかに、外照射だけの治療法もあります。

どちらがよいかについては、主治医に相談されて、検討してみるのがよいかと思います。

針生検=針で病変を刺して組織を採取し、顕微鏡で検査すること

同じカテゴリーの最新記事

  • 会員ログイン
  • 新規会員登録

全記事サーチ   

キーワード
記事カテゴリー
  

注目の記事一覧

がんサポート11月 掲載記事更新!