PSA値が上昇。医師に言われた「バウンス現象」とは?
2008年12月に前立腺がんと診断され、2009年1月に小線源療法を受けました。その後、3カ月に1度、PSA(前立腺特異抗原)値を調べてもらい、ずっと1ナノグラム/ミリリットル(以下、単位省略)台を保っていました。しかし、2009年11月に受けた検査で、3.4に上がってしまいました。主治医には「一時的にPSA値が上がるバウンス現象かもしれないから、様子を見ましょう」と言われていますが、がんが再発したのではないかと不安です。バウンス現象とは何でしょうか。
(岐阜県 男性 66歳)
A 放射線治療の後、PSA値が一時的に上昇する現象
バウンス現象とは、小線源療法などの放射線治療を受けた後、ある一定期間をおいて、PSA値が一時的に上昇する現象です。しかし、いつから、どの程度、PSA値が上昇すれば該当するのかといった、具体的な定義はまだ定まっていません。
しかし一般的には、放射線治療の1~2年後に起こることが多く、ご相談者のように、1年未満に起こることも、逆に2年以上経ってから起こることも、少ないながらあります。バウンス現象であれば、再発ではなく、原則として経過観察で対応します。
バウンス現象の確たる定義はないとはいえ、アストラの定義とフェニックスの定義という2つがあります。アストラの定義では、PSA値が3回連続して上昇した場合は再発と考え、2回まで連続して上昇し、3回目以降は上昇しなかった場合はバウンス現象と考えます。またフェニックスの定義では、これまで保ってきた値から2以上上がれば再発で、上昇の数値が2未満であればバウンス現象と考えます。
これまでの1台のPSA値には、1.0~1.9の幅があります。最も低いときでは、上昇した幅は2.4で、最も高いときではその差は1.5です。2.4という数値は、フェニックスの定義に照らし合わせると、再発になりますが、PSA値には測定誤差があります。測定誤差を考慮すると、現状では、再発ではなくバウンス現象と考えてよいと思います。しかし、今後PSA値がさらに上昇するようなら、再発も考えられます。PSA値の検査は定期的に受け続けるのがよいでしょう。