前立腺がんのダブリング・タイムの意味を教えてほしい
針生検で、前立腺がんが見つかりました。小さなもので、しばらく様子を見ることになりました。話を聞いたり、調べたりすると、前立腺がんは、ほかのがんと違って、ゆっくりしているようです。ダブリング・タイムが長い、という話もあります。初めて聞いた言葉です。このダブリング・タイムとは、どのような意味なのでしょうか。また、治療法に関係してくるのでしょうか。
(福井県 男性 74歳)
A 前立腺がんはPSA値のダブリング・タイムで増殖スピードをみる
ダブリング・タイムとは、がんの大きさ(体積)やがん細胞の数が2倍になるのにかかる時間のことです。日本語では、倍加時間と呼びます。がんは、2個が4個、8個、16個……という具合に、分裂を繰り返して、ネズミ算式に増殖していきます。ダブリング・タイムが短ければ短いほど、がんの増殖するスピードが速いと考えられます。
前立腺がんの大きさを正確に測るのは難しいため、実際には、血液腫瘍マーカーのPSA値が倍になるダブリング・タイムをみます。
これは、2~3カ月置きに3~4回PSAを測るだけで簡単に計算できます。例えば、2カ月置きの検査で、PSA値が2、3、4、6、8という具合に推移した場合、PSA値のダブリング・タイムは、約4カ月となります。一般的に、ダブリング・タイムが2年よりも早い場合は要注意と言われています。ダブリング・タイムが2年以下なら、手術や放射線治療などの治療がすすめられます。2年以上なら、PSA監視待機療法(無治療経過観察)を続けていきます。ただし、途中で、がんの性質が変わって、ダブリング・タイムの値が変わってしまうこともあります。
今後も、PSA値の変化に注意をしてください。