前立腺がんの後、左下肺野に扁平上皮がん。再発した場合の治療法は?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2008年5月
更新:2013年12月

  

PSA(前立腺特異抗原)が77.34と高いため、2005年1月に生検を受けたところ、前立腺がんと診断されました。悪性度を示すグリソンスコアは7で、両側腸骨に転移があり、ホルモン剤のリュープリン(一般名リュープロレリン)のホルモン療法を始めました。前立腺・骨転移部位ともに縮小し、PSAも低くなりました。2006年6月、カソデックス(一般名ビカルタミド)内服を追加し、PSAは測定不能の状態を継続中です。ところが、2007年7月に、CT、生検、PETなどで、左下肺野に3センチ大の扁平上皮がんが発見されました。対側縦隔のリンパ節腫瘍・間質性肺炎の合併が確認されて、入院してシスプラチン(商品名ブリプラチンなど)と、ベプシドとラステッド(一般名エトポシド)の併用療法を計6コース受けました。その結果腫瘍は著しく縮小し、間質性肺炎の増悪は認められませんでした。2008年1月に退院し、外来で経過観察中です。今後、再発、再燃した場合、どんな治療法がありますか。また、緩和ケア、ターミナル・ホスピスケアを行う施設を探すべきでしょうか。

(山形県 男性 67歳)

A 2つのがんは別々のがん。それぞれの専科で治療の選択を

前立腺がんと肺がんとの関係ですが、前立腺がんが肺に転移したのではなく、前立腺がんと肺がんは別々のがんと考えられます。通常、前立腺がんは組織学的には腺がんです。一方、相談者の肺がんは扁平上皮がんですから2つのがんは組織型が異なります。また、腺がんが扁平上皮がんになることはきわめて稀ですから、別々のがんが前立腺と肺にできた重複がんと考えるべきです。

現状では、前立腺がんはホルモン療法で、肺がんは抗がん剤療法で、うまくコントロールされているようです。どちらのがんが再発、再燃したのかによって、その治療法は違ってきます。

一般的に、前立腺がんは進行がゆっくりしています。肺がんは5年生存率などからみて、前立腺がんよりも厳しいがんと考えられます。相談者の肺がんはリンパ節転移がありますから、前立腺がんよりも再発のリスクは高いかも知れません。

今後についてですが、前立腺がんに関しては、現在、通院中の泌尿器科で継続して治療を続けてください。肺がんについては、腫瘍内科や呼吸器内科で継続的に治療を続けてください。そして、前立腺がんが再発したら泌尿器科で、肺がんが再発したら腫瘍内科か呼吸器内科で相談して、治療法を選択してください。

緩和ケアなどについては、備えあれば憂いなしですが、今すぐにということではなくてよいと思います。

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