間欠的療法はいつまで有効か。効かない場合どうするか
1年半前に、前立腺がんと診断されました。すでにリンパ節転移があり、病期Dとのことです。手術や、放射線治療ができないため、ホルモン療法を受けています。PSAが上がったら治療を行って、PSAが下がってきたら治療を中断するという間欠的療法です。幸い、ホルモン療法のおかげでPSAが下がったため、ホルモン療法は中断しています。現在、症状もほとんどなく、良好ですが、PSAが上昇したら、再開する予定です。この間欠的療法は、いつまで有効なのでしょうか。効かなくなった場合、何かよい治療法はあるのでしょうか。
(茨城県 男性 65歳)
A ホルモン剤が効かなくなった場合、別のホルモン剤もある
ホルモン療法は、前立腺がんを治癒させる治療法ではありません。2年先か、5年先か、10年先かはわかりませんが、いつかは、効かなくなることを考えておく必要があります。ホルモン療法は、持続的に行う方法と、間欠的に行う方法とがあります。現在、欧米で、持続的と間欠的ホルモン療法の臨床比較試験が進行中です。延命効果については、どちらがよいのか結論は出ていません。副作用やコストでは、間欠的のほうが少ないため、有利です。間欠的に行う方法は、さまざまです。当院では、9カ月間治療をして、PSAが15に上昇したら治療を再開し、これを繰り返します。この治療法を開発したカナダのグループも、同じ方法で行っています。ただし、治療法が確立されているわけではありません。
現在、使用中のホルモン剤が効かなくなった場合ですが、違うタイプのホルモン剤がありますから、試してみるとよいでしょう。別のタイプのホルモン剤が有効なこともあります。それでも、効かなくなったときは、タキソテール(一般名ドセタキセル)という抗がん剤を用います。タキソテールは、乳がんなどに使われてきましたが、前立腺がんにも適応が拡大される予定です。これまでアメリカでは、前立腺がんでは、QOL向上のために、抗がん剤のノバントロン(一般名ミトキサントロン)が使われてきました。タキソテールは、ノバントロンよりも延命効果のあることが明らかにされています。