ゾメタとホルモン療法の併用はどのように有効か
前立腺がんと診断されて、現在、ホルモン療法を受けています。多少ほてりを感じますが、大きな副作用はありません。ホルモン療法には骨密度が低下する骨粗鬆症の副作用があるとのことです。その副作用を防ぐために、ゾメタ(一般名ゾレドロン酸)という薬を4週間に1度ぐらいのペースで注射しています。ゾメタという薬自体にも、前立腺がんの進行を遅くさせるという話を聞いたことがあります。この併用療法は、ホルモン療法だけの場合と比べて、どの程度有効なのでしょうか。
(熊本県 男性 67歳)
A ゾメタを使うと骨関連事象が起こりにくい
ゾメタは、骨粗鬆症の副作用を防ぐというよりも、骨関連事象を予防する作用があります。この骨関連事象とは、例えば、骨折や、骨転移のために放射線治療や手術などを行わなければならないような、骨にまつわるさまざまな不都合なことです。その中の1つとして、骨密度が低下して骨粗鬆症になり、病的な骨折を起こしやすくなる場合があるのです。カナダでは、骨転移があってホルモン療法の効かない患者さんを対象に、ゾメタを用いたグループとプラシーボ(偽薬)のグループに分けて、二重盲検の比較試験を行いました。その結果、ゾメタを用いたグループのほうが、骨関連事象を起こりにくくしました。ゾメタは、骨転移の悪化を抑えて、なおかつ骨粗鬆症も抑えるのです。
ゾメタ自体に腫瘍縮小効果があるという動物実験のデータが発表されています。臨床での治療効果は証明されていませんが、将来的には期待できるかも知れません。
骨転移のない場合には、骨粗鬆症を治療する飲み薬を服用します。治療が簡単で楽ですし、その治療効果も十分あります。