神経温存手術を受けたい。再発のリスクは高くなるのか?

回答者:島田 誠
昭和大学横浜市北部病院 泌尿器科教授
発行:2007年5月
更新:2013年12月

  

検診で前立腺がんが見つかりました。がんを完全に取り切り、根治の可能性が高いのは手術だと言われました。現在53歳で、家族のためにも、完全に治すことが必要です。しかし、できれば勃起機能を失わない神経温存手術を受けたいと思います。神経を温存することで、再発のリスクはどの程度高まるのでしょうか?

(京都府 男性 53歳)

A きちんと手術すれば、再発のリスクは変わらない

前立腺の両側には、神経血管束という神経と血管の束が、ほとんど前立腺に接するようにして走っています。この神経と血管を前立腺と一緒に切除してしまえば、勃起は起きなくなります。勃起機能を残すためには、前立腺を覆う膜を剥離し、前立腺だけを摘出する必要があります。そのため、がんが両側ぎりぎりまで広がっている場合には、神経と血管を残すことで、がんを取り残す心配が出てくるわけです。

しかし、理想的な手術が行われた場合には、神経と血管を温存しても、再発率はほぼ変わらないことがわかっています。

もちろん、手術をする医師の技術によっては、必ずしもそのような結果になるとは限りません。一般的には、ごくわずかにリスクが高まる、と考えておけばいいでしょう。

53歳という年齢で、手術が受けられる進行度であるという点から考えれば、手術は適切な選択であるといえます。

そして、術後のQOLを考えれば、神経血管温存手術を選ぶのも妥当でしょう。繰り返しますが、神経と血管を温存しても、再発のリスクはごくわずかに高くなるだけですし、理想的な手術が行われれば、リスクはほぼ変わらないのです。

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