ホルモン療法の副作用が心配。75歳でも手術は可能か

回答者:島田 誠
昭和大学横浜市北部病院 泌尿器科教授
発行:2007年5月
更新:2013年12月

  

前立腺がんが見つかりました。主治医からはLH-RH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)アゴニストという薬を使うホルモン療法を勧められています。とくに体力が衰えているわけではないのですが、現在75歳なので、手術は年齢的にも難しいのかもしれません。かといって、ホルモン療法は副作用が気になります。長い期間、副作用に苦しめられるくらいなら、いっそ手術のほうが楽ではないかと思い悩んでいます。どのような選択をしたらいいのでしょうか。

(三重県 男性 75歳)

A 年齢的には大丈夫。手術の適応があるか確認を

まず問題となるのは、手術の適応があるかどうか、ということでしょう。医師からホルモン療法を勧められているとのことですが、ある程度がんが進行していて、手術の適応ではない、ということも考えられます。まず、その点を主治医に確認してください。

進行などの点で手術が適応になるのであれば、75歳だからといって、手術ができないことはありません。問題となる合併症などがなく、特別に体力が衰えているのでなければ、手術は可能です。

手術を行うのは、期待できる余命が少なくとも10年ある場合が望ましいとされています。厚生労働省のデータによれば、75歳の男性の平均余命は、ちょうど10年程度になります。その点からも、手術は選択肢の1つであると言えます。 ただ、ホルモン療法も手術も選択できるのであれば、どちらがよいのか、冷静に比較検討する必要があります。

LH-RHアゴニストは下垂体に作用する薬で、これを使うと、精巣からテストステロン(男性ホルモン)が分泌されなくなります。そのため、副作用としては、ホットフラッシュ(急に顔が赤くなってのぼせるような症状)がよく現れます。これが最も問題となる副作用でしょう。その他、皮下脂肪が増えて体型が丸みを帯びてきたり、ED(勃起機能障害)が起きたりします。

ホルモン療法に副作用があるのはもちろんですが、手術を受けた場合にも、尿失禁や勃起機能障害など、不都合なことが起きる可能性があります。また、手術自体のリスクもあります。「いっそ手術のほうが楽」とは言い切れないでしょう。

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