再発を防ぐ生活の工夫とは?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2011年12月
更新:2013年11月

  

前立腺がんの放射線治療を2年前に受け、PSA値も0.02台まで下がり、経過は良好です。このままなんとか再発せずに、療養できたらいいと考えています。食事や運動などの生活面ではどのようなことに気をつけたらいいでしょうか。

(神奈川県 男性 76歳)

A 再発よりも治療の副作用を防ぐため、食物繊維の多い食事を

放射線治療後2年を経て、経過も良好のようですから、気をつけたいのは、再発しにくい食生活などよりは、放射線治療による副作用を避けるのが中心となるかと思います。放射線による治療後は、尿道、膀胱、直腸などの周辺臓器の組織に影響があります。弱った組織に無理な力がかかると、出血や痛みなどの症状が出ることがあります。

よく見られるのは、直腸出血と血尿、排尿痛などの排尿障害です。直腸出血は、下痢や便秘で直腸壁に負担がかかると起こりやすくなります。便通を少しやわらかめにするために、日ごろから野菜を中心とした日本的な食事によって食物繊維を多くとり、下痢傾向のときは辛いものなど腸を刺激する食物は控えます。また、排尿を極端にがまんしたりすると、膀胱が大きく膨らみ出血しやすくなります。

乗馬や振動の大きなバイク走行など、骨盤底を刺激する乗り物には注意が必要です。また、デスクワークなどで長時間座り続けないように気をつけます。これは、骨盤内の血液やリンパの流れが妨げられてうっ血状態になると、出血しやすくなるためです。長時間のドライブのときは、2~3時間ごとに休憩をとって、立ったり歩いたりするといいでしょう。

生活全般としては、前述のような副作用に気をつけたうえで、ごく普通の節度ある過ごし方をすればよいかと思います。再発や副作用を気にするあまり、生活を制限してストレスをためてしまうのは、よくありません。生活を楽しめるように、工夫をしていただければと思います。

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