初期の前立腺がん。何も治療しなくて大丈夫? 

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2012年10月
更新:2013年11月

  

検査で、前立腺がんが見つかりました。1期でグリソンスコアが6のごく初期とのことです。主治医からは高齢で、がんの悪性度も低いから3カ月に1度、PSAの数値による経過観察を行い、数値に変動があったら手術や放射線などの治療をしていくと言われました。本当にこのような治療計画で良いのでしょうか?

(埼玉県 男性 78歳)

A 何もしないのも1つの治療法

早期の前立腺がんと診断された場合、できるだけ体に負担をかけず、PSA(前立腺特異抗原)と呼ばれる前立腺がんの腫瘍マーカーの数値を見守って過ごす、PSA監視療法という治療法が推奨される場合があります。

この治療法は一般的に、3カ月に1回のPSA検査による経過観察、そして1年後に、前立腺組織を少し取って、顕微鏡でがん細胞の有無や悪性度を再確認する生検を行います。しっかりと前立腺がんを監視することで、必要であると考えられるタイミングで積極的な治療を行い、勃起障害や尿漏れなどの合併症が起こる可能性のある手術などの治療を極力避けることができます。

この治療法の適応は、高齢者で、かつ病期が1期(TNM分類ではT1c期)でグリソンスコアという前立腺がんの悪性度を示す数値が6以下(グリソンスコアは2~10まで分けられる)、そしてPSAの数値が10以下、なおかつ生検で10~18本の針の中から2本以下でがんが見つかった人が対象となります。

このように厳しく患者さんを限定するのは、手術などの積極的な治療のタイミングを逃さないようにするためです。

目安としては、PSAの値が2倍になるのにかかる期間を計算し、その期間が2年以下であれば、進行の速いがんと判断し、積極的な治療を行います。

PSA監視療法も1つの治療選択と考え、どうしても不安であれば手術や放射線治療なども考慮し、後悔のない治療を受けてください。

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