ホルモン療法が効かなくなった後の治療は?
前立腺がんの3期です。先月、手術を受け、リンパ節転移が確認され、LH-RHアゴニスト(ゾラデックス*)と、抗アンドロゲン剤というホルモン剤(カソデックス*)によるホルモン療法を受けています。 先生からは、この薬はいずれ効かなくなる、と言われました。大体、どのくらいの期間で効果が無くなるのでしょうか? またホルモン剤の効果が無くなったら、他にどのような治療法があるのでしょうか?
(福岡県 男性 57歳)
A ホルモン交替療法や化学療法を
男性ホルモンの分泌を抑えるためには、手術で精巣を摘出する外科的去勢術や、LH-RHアゴニスト製剤などを使い、男性ホルモンの分泌を抑制します。
ただし、これらのホルモン療法には限界があり、いずれ前立腺がんは去勢抵抗性と呼ばれる状態になり、再び増殖します。
ホルモン療法の効果がなくなるまでの期間は、患者さんにより個人差があり、短い方で2年ほど、長い方で約7~10年です。
一般的に、グリソンスコアの数値が低い場合はホルモン療法が長く奏効する傾向があり、逆に高い場合は効果が期待できる期間は短くなります。
1回目のホルモン療法で効果が無くなってきた場合、2つの治療選択が考えられます。1つは今までとは違った薬剤でホルモン療法を継続する方法(ホルモン交替療法)。そしてもう1つは、速やかに化学療法を行う方法です。
化学療法はホルモン療法と比較して、副作用が強いためできるだけホルモン療法を継続していくことが理想ではありますが、がんの進行が速く高悪性度で半年~1年で急速に病状が悪化してしまうのであれば、早めに化学療法を選んだほうがよいと思います。
具体的に、化学療法ではタキソテール*という薬剤での治療が行われます。
タキソテールの副作用として、1番多いのは好中球減少です。他には手足のしびれなどが生じます。また、まれにですが、間質性肺炎という致死的な副作用が生じる場合もありますから注意が必要です。
また、海外では、去勢抵抗性前立腺がんの薬剤として、アビラテロン(一般名)やタキソテールと同じタキサン系のカバジタキセル(一般名)が承認されており、日本でも使えるようになれば、治療選択肢が増えそうです。その他、MDV3100や、TAK700という新規ホルモン療法の薬剤も我が国で治験中です。
このように、どんどん新しい薬剤が登場する予定ですので、ホルモン療法が効かなくなったとしてもあきらめないで治療を行ってください。
*ゾラデックス=一般名ゴセレリン酢酸塩 *カソデックス=一般名ビカルタミド *タキソテール=一般名ドセタキセル