スキルス性胃がん。骨転移の治療法について

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2005年6月
更新:2019年7月

  

4期のスキルス性胃がんと診断され、TS-1(一般名テガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム)で治療をしていましたが、最近背骨への転移が見つかりました。抗がん剤が効いていないとの判断でカンプト(一般名イリノテカン)に変えましょうと提示を受けましたが、効果が出ないかもしれないとのことで、緩和ケアへの移行もほのめかされています。根治は無理だと思いますが、なんとか長く生きられる効果的な治療を教えて下さい。

(東京都 男性 62歳)

A 手術は一般的でなく、放射線や化学療法が用いられる

胃がんでは骨への転移は1カ所でなく多発の場合が多いため、手術治療は一般的ではありません。胃がんの骨転移の治療には大きく分けると、主治医が勧めている全身化学療法と、痛みなどによる症状を改善するための放射線治療があります。もし、部分的な痛みが強いなどの症状で生活に支障が出ている場合は、痛む部分の放射線治療が強く勧められ、実際良く効きます。ただ、放射線治療は局所の治療ですから、化学療法のように全身の病巣に効果があるわけではありません。化学療法もよく試みられますが、ものすごく効くものがある一方で、副作用が強く出たり、ほとんど効果がないこともあります。化学療法や放射線治療をやるまえに、効果があるかどうかわかればよいのですが、今のところはやらないとわからない点が多いのです。将来は、がん細胞の遺伝子を調べることにより、そのがんにどのような薬が効くのか、あるいは効かないのか、わかるときが来ると思います。

緩和ケアは終末期医療と同じ意味ではありません。最近は、終末期になる前に、手術、化学療法、放射線治療などの副作用などに苦しむ患者に必要なケアも含めて緩和ケアと呼んでいます。つまり、がんと戦っている最中から緩和ケアは必要なのです。そのような意味で、緩和ケアのことを話されたのであって、決して見放されたのではないと思います。

また、放射線や化学療法を行わないということも、1つの選択肢として提示する必要があります。お話しを伺った限りまだ積極的な治療をあきらめるのではなく、放射線と化学療法という強い武器を駆使してがんばるべきです。良い状態で少しでも長生きできる方法を担当医の先生と探ってください。

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