腹膜転移への化学療法は?

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2005年6月
更新:2019年7月

  

2004年暮れに胃の全摘術を受けました。3b期でした。ひと月ほど前から嘔吐をするようになり、検査で小腸と大腸の複数箇所に狭窄が見られる腹膜転移だということです。手術は狭窄が多いことからできず、タキソール(一般名パクリタキセル)を月に2回投与するそうです。しかし、インターネットなどを見ていると、腹膜転移に使用している例が余り見つからず、この治療で良いのか不安を感じています。

(愛知県 女性 65歳)

A タキソールや5-FUがよく使用される

胃がんは他のがんに比べて腹膜転移をおこしやすい病気です。そして、タキソールは最近胃がんの腹膜転移によく使われている抗がん剤です。これまでは腹膜転移に使える抗がん剤の種類が少なかったのですが、タキソールが数年前から使われるようになり治療の選択肢が増えました。タキソールは胃がん以外にも肺がんや乳がんなど腹膜転移をおこしにくいがんでもよく使われるため、調べたときに腹膜転移にあまり使われていないような印象をもたれたのではないでしょうか。

その他の薬としては5-FU(一般名フルオロウラシル)の点滴があります。どちらを先にやるかは意見が分かれており、病状や体力をよく把握した主治医の先生と相談しながら、治療をすすめればよいと思います。

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