モルヒネの副作用がひどく、生きる気力を奪っている気が……
56歳の妹が昨年、スキルス胃がんの4期と診断されました。その後、骨転移が判明し、今はモルヒネで痛みを抑えています。しかし、モルヒネの副作用のためか、いつも眠っているような状態で、食欲もなく、食べても吐いてしまいます。はたで見ていると、これらの症状が生きる気力を奪っているように見えます。姉としては、できればモルヒネをやめさせたいのですが……。
(大分県 女性 59歳)
A 適正に使用する限り、モルヒネは非常に有用な薬
副作用を理由にモルヒネをやめるのは勧められません。これは、WHO(世界保健機関)の方針でもあります。
モルヒネには便秘や吐き気、嘔吐、呼吸抑制などの副作用がありますが、ほとんどの場合、いずれもコントロールすることができます。
この方の場合、眠気と嘔吐の副作用が出ていますが、眠気に対しては、覚醒効果のあるリタリン(一般名メチルフェニデート)が功を奏します。
嘔吐に関しては、Q2のケースと同じく、ノバミンなどが効果的です。嘔吐や吐き気がなくなるとともに、食欲も増してくるでしょう。
モルヒネなどのオピオイド*に対しては、「余命を短くする」「錯乱状態になる」「麻薬中毒になる」など、いまだに多くの人が間違った誤解や偏見を持っています。これらは、明らかに誤ったとらえ方です。
MSコンチンなどのモルヒネもオキシコンチンも、適正に使用している限り、非常に有用な薬です。進行したがんによる激痛をまったくなくすことも可能なのですから、非常にありがたい薬といえるでしょう。
ただ問題なのは、これらの鎮痛剤を適正に使用できない医師が少なからず存在していることです。緩和ケアの医療体制を整え、医師側も勉強すると同時に、患者さん側も鎮痛剤をはじめとした緩和ケアの正しい知識を持ってもらいたいと思います。
*オピオイド=「合成麻薬」のこと。非オピオイドは合成麻薬以外の消炎鎮痛剤を指す