ピロリ菌陽性で、びらんがある。除菌療法はどうか

回答者:山口 俊晴
がん研有明病院 副院長・消化器外科部長
発行:2011年6月
更新:2019年7月

  

2年ほど前にピロリ菌陽性と言われました。しばらくのあいだ、そのままにしておいたのですが、現在、幽門部にびらん(ただれ)があります。就寝前に胃酸分泌抑制剤(PPI)を飲んでいるのですが、これから除菌療法を試みたほうがよいのでしょうか。

(山口県 男性 57歳)

A ピロリ菌と胃がんの関係はまだ不明

胃の粘膜に生息するピロリ菌は、胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍の増悪因子であり、胃がんとも深いかかわりを持っていることが明らかとなっています。日本では約6千万人が感染しており、とくに50歳以上に感染者が多く、60~70パーセントを感染者とする調査もあります。

しかし、ピロリ菌陽性だからといって必ず胃がんになる、というわけではありません。胃がんの患者さんの中に、高い頻度でピロリ菌保有者が確認されていますが、ピロリ菌感染から発がんに至るメカニズムは、まだすべてが分っているわけではありません。

感染を調べる検査方法としては、内視鏡で粘膜を採って調べる方法と、血液・尿・呼気を検査する方法があります。実際の除菌方法ですが、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤(オメプラゾール/ラベプラゾール)に、抗生物質のアモキシシリンやクラリスロマイシンを朝・夕食後に1週間投与します。除菌できなかった場合は、クラリスロマイシンをフラジール内服錠に替え、2次除菌を試みます。除菌して1~2カ月後に、内視鏡検査や血液・尿・呼気検査で、除菌されたことを確認します。

副作用としては、下痢・口内炎・味覚異常・発疹・発熱・腹痛・血便といった一般的な抗生物質の副作用ですが、アレルギーなどがある方などは、処方医との相談が必要です。

ピロリ菌と胃がんの関係は、いまだにはっきりしていません。ただ、ピロリ菌感染のために胃粘膜の炎症を子どものころから繰り返すことで慢性胃炎となり、がんができやすい胃の粘膜になることが関係しているのではないかと推測されています。

また、早期胃がん患者さんで、内視鏡治療後に除菌した人としない人を比較すると、除菌した人の再発率が減るという報告もあります。したがって、胃がんのガイドラインでは早期胃がん患者さんで、内視鏡治療後にピロリ菌感染のあるかたには除菌療法は推奨されています。

幽門部=十二指腸につながる胃の出口付近 フラジール内服錠=一般名メトロニダゾール

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