ハーセプチンの効果は?
進行・再発胃がんにハーセプチン*を併用した抗がん剤治療が、昨年保険適応になったと聞きました。HER2の過剰発現が確認された胃がんが対象とのことですが、これはどのような場合に、どの程度の効果が期待できるのでしょうか。
(京都府 男性 72歳)
A 全生存期間が延長
HER2タンパクは、細胞の増殖機能を担う遺伝子タンパクです。これが、過剰に発現している場合をHER2陽性といい、分子標的薬ハーセプチンによる治療が効くとされています。
胃がんでは、およそ20~25%の場合で、HER2陽性です。進行再発胃がんのうち、このHER2陽性例に、通常の抗がん剤治療(シスプラチン*と、ゼローダ*など5-FU*系統の薬剤)にハーセプチンを組み合わせて使うと有効性が高まることがわかりました。
HER2が陽性かどうかは、胃がんの組織を検査するとわかりますので、進行した胃がんでは手術の際にその有無を調べておくとよいでしょう。なお、効果ですが、ハーセプチンを加える治療では、全生存期間の中央値が、11.1カ月から13.8カ月に2.7カ月延長したことが臨床試験の結果、明らかになっています。
*ハーセプチン=一般名トラスツズマブ *シスプラチン=商品名ブリプラチン/ランダ *ゼローダ=一般名カペシタビン *5-FU=一般名フルオロウラシル