ALK融合遺伝子陽性でザーコリ服用中。アレセンサに切り替えるべきか

回答者・坪井正博
国立がん研究センター東病院呼吸器外科長
発行:2014年12月
更新:2015年3月

  

2010年8月に肺腺がんと診断され、遺伝子検査の結果ALK融合遺伝子陽性と出てザーコリを服用しています。がんは右肺に3㎝ほどで、縦隔リンパ節にも2㎝ほどの転移があったのですが、ザーコリが効いて、がんがほぼ消失していることが分かりました。その後、2012年10月に脳転移が発覚。放射線による全脳照射を受けました。

先日主治医にザーコリから同じALK融合遺伝子陽性に使えるアレセンサという薬に切り替えてみないかと言われています。アレセンサは、どういう薬なのでしょうか。ザーコリと比べて効果は高いと考えてもいいのでしょうか。

(34歳 男性 茨城県)

アレセンサに切り替えることを勧める

国立がん研究センター東病院の
坪井正博さん

アレセンサは今年(2014年)9月に発売になった薬剤で、ザーコリと同じALK阻害薬ですが、ザーコリと比べるとALK融合遺伝子のある症例に対する効果が高いと考えられています。ザーコリはもともとALKだけでなく、METやROS1といった他の遺伝子変異や融合遺伝子も一緒に阻害するため、そういった遺伝子変異にも効果がある反面、アレセンサと比べるとALK遺伝子に対する特異性が低いと言われています。

これまでの臨床試験結果では、まだ中間報告の段階ですが、アレセンサの無再発生存期間(RFS)は28カ月。ザーコリはだいたい7カ月ほどで効かなくなると言われているので、それに比べると明らかに効いている期間は長いです。また、今までの化学療法だと、3~4カ月で効かなくなると言われていますので、それに比べても長いです。

さらに今年のESMO(欧州臨床腫瘍学会)の発表では、ザーコリが効かなくなった人に対してアレセンサで治療を行ったところ、奏効率(RR)は6割程度、病勢コントロールといって腫瘍が大きくならない人は8割ほどいたと報告されています。脳転移のあった症例でも同様に効果があったようです。副作用に関しても、ザーコリで出ているような眼の症状を訴える人もいますが、比較的軽いと言われています。

現時点では、アレセンサはザーコリよりもALK融合遺伝子があった人により効果が認められ、ザーコリが効かなくなった人に対しても効くことが証明された薬剤です。そういった意味でも、今回ザーコリの内服中に脳転移が出てきたことを考えると、主治医の先生が言われるように、アレセンサに切り替えることをお勧めします。

ザーコリ=一般名クリゾチニブ アレセンサ=一般名アレクチニブ

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