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FP黒田尚子のがんとライフプラン 12
2015年1月から高額療養費制度が改正。変更点をおさえておこう!
高額療養費制度(以下、「高額療養費」)といえば、医療費が高くなりがちながん患者さんの必須アイテムともいうべき公的制度。この制度が2015年1月から改正されていることをご存じでしょうか?今回は、高額療養費の改正点についてまとめてみました。
「高額療養費」とは、医療機関や薬局の窓口で支払った額が、歴月(月の初めから終わりまで)で一定額を超えた場合、その超えた金額が戻ってくる公的な医療制度です。
患者さんが1カ月に窓口で負担する限度額(自己負担限度額)は、その人の年齢と所得により決まっているのですが、2015年1月以降、70歳未満の人の自己負担限度額が、次のように変更になっています(図表参照)。
これまで所得区分は、3つに分けられており、「一般所得者」の人の年収の目安は、約210万円~770万円と幅がありました。つまり、年収300万円の人と、倍以上も違う年収700万円の人が同じ負担をしなければいけないわけです。そのため中低所得者層の負担が大きいということが以前から指摘されていました。
そこで、所得区分を細分化し、あまり年収が高くない人の負担を軽くする代わりに、年収の高い人の負担を重くするように、改正が行われました。
これによって、自己負担限度額の負担がどれくらい増減するか試算してみましょう。
総医療費100万円の場合、区分が標準報酬月額83万円以上(年収約1,160万円)の人であれば、改正前に比べて改正後は自己負担限度額が99,180円の増加になります。
一方、標準報酬月額26万円以下(年収約370万円)の人であれば、改正前に比べて改正後は29,830円の減少になります。
最高で10万円近くの負担増となり、これだけハードルが高くなってしまうと、年収が高い人といえども、家計に与える影響は小さいといえません。ただ、実際のところ高所得のサラリーマンは大企業に勤務している人が多く、そこでは法律で定められた法定給付に加えて独自の給付を上乗せする付加給付の制度が設けられていることも。
例えば、高額療養費の自己負担限度額も年収に関係なく一律3万円といったように手厚くなっているため、今回の改正の影響はあまりないでしょう。
おそらく、大きく影響を受けるのは、付加給付のない協会けんぽに加入する中小企業にお勤めの会社員や国民健康保険の自営業・自由業の人たちなどです。
分子標的薬治療など、継続的に高額療養費の適用を受けている人は、今回の改正に対応できるよう、早めにプランニングを立てておくことをお勧めします。