ステージⅠ(I)の舌がん。手術の影響は?
舌の縁の部分にしこりができて受診。舌がんと診断されました。がんの大きさは約2㎝で転移はありません。手術を勧められましたが、術後の発声や嚥下、咀嚼、味覚などについては、どの程度影響するのでしょうか。また、放射線治療では根治は難しいのでしょうか。
(56歳 男性 愛知県)
A 手術による機能障害はほとんどない
国立がん研究センター東病院
副院長の林 隆一さん
副院長の林 隆一さん
舌がんは舌の両側や下面によく見られます。がんの大きさが2㎝以下で、頸部リンパ節への転移がない場合はステージⅠ(I)です。
ステージⅠ(I)の手術の場合、がんが小さく浅ければ局所麻酔での日帰り手術や、数日の入院で済みます。術後数日は舌が腫れたり痛みを伴ったりして食事が食べにくいことがありますが、次第にそうした症状は消失していきます。
また、舌の変形や舌尖部のしびれが残ることがあるものの、発声や飲み込み、咀嚼などの機能障害はほとんどありません。味覚障害になることもありません。
放射線治療の場合は組織内照射が行われます。組織内照射は放射線が出る線源を患部に直接刺し入れて留置し、集中的に放射線を照射する方法です。
低線量率照射法と高線量率照射法があり、どちらを行うかは施設によって異なります。細心の注意を払って治療が行われますが、まれに下顎骨の骨髄炎などの晩期障害が起こることがあります。
関連記事
- ●TPP担当閣僚在任中、舌がんが見つかった甘利 明さん(67歳) 自分が成し遂げるべきことを強く意識するようになりました
- ●舌がんになった医師が、再発予防のため辿り着いた結論とは 16時間の空腹時間を作ってみることを勧めます
- ●早期発見、治療が1番 先生にタン(舌)キューべろマッチです! 2005年に舌がんを経験した医事漫談の巨匠・ケーシー高峰さん(81歳)
- ●放射線治療で舌を温存し、治療後も味覚を損ねない生活を QOLを考えた選択肢、舌がんの小線源治療
- ●味覚も言葉も損ねない舌がんの小線源治療 知ってほしい!手術よりもはるかにQOLが高いことを
- ●「同じ舌がんの人の役に立てれば」と綴った絵日記から生まれるエネルギー ささえてくれる人への感謝を絵に描きとめておきたい