早期の乳がん。ラジオ波焼灼療法とは?
乳がんが判明し、画像検査の結果では大きさは1cmほどで、リンパ節転移はないようです。インターネットで調べたところ、早期のがんであれば、施設によってラジオ波焼灼(しょうしゃく)療法が受けられるとありました。この方法だと手術が不要なので、乳房に傷をつけずにすみそうです。どのような治療法なのでしょうか。
(60歳 女性 千葉県)
A 長期的な予後は証明されていないので、勧められない
上野貴史さん
経皮的乳がんラジオ波焼灼療法(RFA)は、CTや超音波断層装置で腫瘍の位置を確認しながら、局所麻酔後、皮膚に針状の電極を刺し、電極が腫瘍の内部に到達したことを確認できたら、ラジオ波という電磁波を照射してがんを焼灼する治療法です。RFA施行後は乳房照射を追加し、治療を終了します。
この治療法は厚生労働省が認定した先進医療の1つで、現在8つの医療機関で実施されています。対象となるのは直径1.5cm以下の早期の乳がんです。
RFAは手術が不要で、乳房を傷つけずに済む治療法ですが、問題点もあります。手術では切除した組織の断端を調べ、がんが断端にまで広がっていないかどうかを確認し、切除が不十分であれば再度手術を行います。
しかし、RFAでは組織を切除しないため、断端の評価ができず、がんを取り残してしまう可能性があります。画像では1cmであったとしても、実際のがん細胞はもっと周囲にまで広がっているので、中心部のがん細胞は焼灼できるものの、一部のがんが残ってしまう可能性があるのです。
早期乳がんのRFAは臨床試験の段階なので、長期的な予後については証明されていません。ですから、ある程度のリスクを承知の上でRFAを受けることもあり得るとは思いますが、通常の治療としてはお勧めできません。低侵襲で安全性も確立されている、乳房温存手術をお勧めします。