ALK陽性の肺がんでの免疫チェックポイント阻害薬の効果を知りたい
非小細胞肺がんALK融合遺伝子陽性で、アレセンサ(一般名アレクチニブ)で治療中です。PD-1が50%以上陽性なので、ALK融合遺伝子陽性肺がんへの免疫チェックポイント阻害薬の効果を教えてください。
(56歳 男性 栃木県)
A 化学療法との併用であれば効果が期待できる
呼吸器内科学分野教授の久保田さん
EGFR(上皮成長因子受容体)遺伝子変異やALK融合遺伝子陽性の人は免疫チェックポイント阻害薬単独の効果が不良だったので、それ以降の臨床試験から除外されることが多くなりました。
化学療法単独と化学療法+免疫チェックポイント阻害薬併用との比較試験では、併用のほうが化学療法単独よりも良好だとのデータがあります。
プラチナ製剤(一般名シスプラチンまたはカルボプラチン)+アリムタ(同ペメトレキセド)+キイトルーダ(同ペムブロリズマブ)の比較試験(KEYNOTE-189)の結果は、化学療法+免疫チェックポイント阻害薬併用の成績が非常に良好だったのですが、EGFRやALK陽性患者は除外されていました。
免疫チェックポイント阻害薬の単独の治療では、非喫煙者よりも喫煙歴がある患者のほうが効果は高かったのですが、KEYNOTE-189試験では、非喫煙者の併用群の成績が非常に良好でした。
遺伝子変異がある肺がん患者さんは非喫煙者が多いので、化学療法と免疫チェックポイント阻害薬の併用は遺伝子変異がある患者さんにも有効な可能性があります。
もともと、免疫チェックポイント阻害薬単独ですと、非喫煙者の場合、効果はパッとしなくて喫煙歴がある人のほうが効果は高かったのです。
ただ化学療法との併用になると、喫煙歴がない人の効果が、比較的高かったのです。ALK陽性の場合は喫煙歴がないことが多いので、化学療法との併用であれば効果は期待できるのではないかと考えます。
パラプラチン(一般名カルボプラチン)+タキソール(同パクリタキセル)+アバスチン(同ベバシズマブ)+テセントリク(同アテゾリズマブ)の比較試験(IMpower150)では遺伝子変異陽性患者さんも含まれていましたが、最終解析の時点では除外されていました。EGFR、ALK陽性患者さんだけの解析では併用群での成績は、陰性患者さんと同程度に良好でした。
アレセンサ(同アレクチニブ)で治療中とのことですが、ALK陽性の場合、化学療法との併用であれば免疫チェックポイント阻害薬の効果は期待できると考えます。