山本寛斎さんと池江璃花子さんとの治療の違いは
ファションデザイナーの山本寛斎さんが急性骨髄性白血病で死去(2020年7月21日享年76歳)されたとの報道がありました。確か山本さんは今年(2020年)の2月に急性骨髄性白血病と診断されたと、公表していたと思います。白血病と診断されてわずか5カ月余りで亡くなられていますが、こんなに早く亡くなる病気なのでしょうか。競泳の池江璃花子さんは完治されたとのことですが、山本さんとの治療の違いがあったのでしょうか。
(50歳 女性 神奈川県)
A 高齢者に発症する急性骨髄性白血病は治療が難しい
日本赤十字社医療センター
血液内科副部長の塚田さん
血液内科副部長の塚田さん
まず急性白血病の中には、急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病があります。急性リンパ性白血病は発症する平均年齢が低く、池江璃花子さんはこの急性リンパ性白血病でした。
一方で山本寛斎さんが罹患した急性骨髄性白血病ですが、発症年齢は若年から高齢まで多岐にわたります。また急性骨髄性白血病の中には、前段階を経ずに発症するタイプと、骨髄異形成症候群という前段階を経て発症するタイプがあり、後者は高齢者に多くみられます。
一般的に高齢者に発症する急性骨髄性白血病は、同種移植を含む強い治療が難しいことが多く、平均的な生存期間も短くなります。高齢の患者さんは合併症を有することも多く、臓器の予備能力も低いことから、化学療法による副作用も強く出る傾向があります。