肝門部胆管がんの手術とは?リスクは高いか
肝門部胆管がんになり、手術を受けることになりました。その際、肝臓の一部を切除すると言われましたが、一般的にどのようなリスクを伴うのでしょうか。また、長時間かかる複雑な手術が多いと聞きましたが、本当でしょうか。
(兵庫県 女性 64歳)
A 肝臓の一部を切除することが多い。胆汁瘻、腹膜炎などの合併症がある
肝門部の胆管とは、肝臓内を走る左右の胆管が合流する部位で、ここに発生するがんを「肝門部胆管がん」といいます。
肝門部胆管がんは胆管に沿って進展することが多く、この手術に際しては、がんの肝臓内の胆管への進展範囲に合わせて、肝臓の右側もしくは左側の半分または一部を切除しなければ、がんを切除できないことが多く認められます。
また、肝臓とは反対の膵臓側の胆管も、がんの進展範囲に合わせて切除し、胆管と腸をつなぐ手術(胆管空腸吻合術)が必要になります。そして胆管は、肝臓や膵臓、十二指腸の間を縫うように存在し、その周囲には門脈や肝動脈などの重要な血管が走っています。がんの進展状況によって手術方法も時間も大きく異なりますが、手術の難易度は非常に高く、一般的には大がかりな手術になります。手術時間が10時間以上など長時間に及ぶことも珍しくありません。これだけの手術には、やはりリスク(合併症)が伴います。
胆道がんの手術後の重篤な早期合併症(手術後まもなくして起こる合併症)には、腹腔内出血(お腹の中への出血)、消化管出血(胃や腸の中への出血)、肝不全(黄疸や腹水の貯留など)、腎不全、肺の合併症(胸水貯留や肺炎など)、心筋梗塞、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、膵炎、胆管炎、膵液瘻(膵液がおなかの中に漏れること)、胆汁瘻(胆汁がおなかの中に漏れること)、腹膜炎、縫合不全(縫合した部位から消化液などがおなかの中に漏れ出ること)などがあります。
また、胆道がんの手術後の晩期合併症(手術後、かなりの期間をおいて起こる合併症)には、主に胆管炎、肝機能障害、腎機能障害、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、腸閉塞などがあります。
これらの合併症は必ず起こるわけではなく、順調な経過をたどる方も多くいます。ただし、手術後、半年以上経ってから、何かしらの合併症が起こることもあります。また、これだけの手術をしても、がんが再発することも多々あります。手術後も担当医師の指示に従い、定期的に通院して、経過を観察することが重要です。