声を失わない下咽頭がんの治療法は?
2008年5月に頸部に隆起ができたため大学病院で検査を受けました。その結果、下咽頭T2N2bの扁平上皮がんと判明し、手術で除去する必要があると言われました。しかし声帯を維持・保存したいため、抗がん剤と放射線併用による治療法を選択しました。6月下旬に抗がん剤の点滴を5日間受け、7月中旬から8月下旬にかけて週5日間、計33回の放射線治療と週1回、計5回の抗がん剤の点滴を受けました。8月下旬に退院して、9月と10月に治療後の診察と検査を受けたところ、咽頭部にがんの残存の疑いを指摘されました。その後、入院して生検を受けると、がん組織の残存が判明しました。病院では、本格的な手術以外に方法はないと言われましたが、手術以外には本当に治療法がないのでしょうか。もしあるようでしたら、その治療を行っている施設をお教えください。
(埼玉県 男性 70歳)
A 治癒を目指すのなら、声を失う可能性が高い
咽頭のがんが残存ないしは再発した場合の治療法は、一般的には手術です。手術が可能であればがんが治る可能性も十分にあると思います。
手術法は通常、下咽頭・喉頭全摘手術です。発声の機能を持つ喉頭を全摘するので、生理的な声は失われてしまいます。切除した後の咽頭部分は小腸の一部を移植して再建するのが一般的です。呼吸に関しては永久気管孔という呼吸のための穴を前頸部に作ることになります。ただし、もともとあった腫瘍や残存している腫瘍の大きさなどによっては、喉頭を温存する手術を行うことも可能かもしれません。
声を残す、つまり喉頭を温存する手術は、がんの専門施設と一部の大学病院しか行っていません。
手術以外では、抗がん剤治療などがありますが根治は難しく、がんの治癒を目指すのであれば、手術を受けられるのがよいと思います。失声に対しては筆談が必要となることが多いかもしれませんが、食道発声のリハビリを行ったり、電気喉頭を利用することで、代用音声を獲得できることも多いです。