がんがあるのに「様子を見る」と診断。不安は募るが
PSA値を見た医師が前立腺の針生検を行い、10本中1本にがんが発見されました。しかし医師には「様子を見る」と言われました。がんがあるのに治療しないというのが不安です。何らかの治療を受けた方が、気持ちが楽になりそうです。
(長野県 65歳 男性)
A 状況により観察治療も
針生検とは、針を刺して前立腺の組織をとって調べる検査ですが、10~12本中2本以下で、かつ悪性度などその他の数値も条件内なら、「PSA監視療法」という方法をとることがあります。
積極的に経過を観察するため、アクティブサーベイランスとも呼ばれます。患者が治療を望まない場合は、病気が進行するまで検査を続けることで治療を回避するということです。
前立腺がんは小さくておとなしいと進行がゆっくりという特徴があるので、副作用や合併症などのリスクが伴う手術や放射線治療を選ぶより、治療せずにそのまま天寿をまっとうしたほうが患者さんのQOL(生活の質)にとって良いのではという考え方です。
もちろん「監視療法」ですから、3カ月に1度程度のPSA検査を続け、値の上昇具合をチェックし、再度の針生検で悪性度を確かめます。PSA値が急に上がったり、再生検で悪性度が悪くなったら、治療をすすめます。
しかし、この方法に抵抗を感じる患者さんがいるのも事実です。最大の問題は、相談者のような精神的ストレスでしょう。がんが体にあるということ自体に大きな悩みを持つようでしたら、担当の医師に率直に相談し、ほかの治療法を考えてもらうべきです。
自分にとってQOLの維持向上にどの治療法が適しているのか、考えてみてはいかがでしょうか。