肺に転移した腎がん。治療に用いられる抗がん剤は?

回答者:赤倉 功一郎
東京厚生年金病院 泌尿器科部長
発行:2012年4月
更新:2013年10月

  

腎臓にがんが見つかり、すでに肺にも転移していました。腎臓のがんを手術したあとに、抗がん剤の治療をすることになりました。治療薬は、スーテントを使うことになっています。最近、腎がんの治療に新しい薬剤が次々に出ていると聞きますが、私の場合は、スーテントの治療でよいのでしょうか。

(千葉県 男性 40歳)

A スーテントが一般的。インターフェロンも検討できる

転移性腎がんの1次治療には、スーテントを用いるのが一般的な治療方針です。そのほか、貧血などで全身状態に問題がある、転移の数が多いなどの高リスクの患者さんであったり、がんの組織型が通常の淡明細胞がん以外の組織型であったりする場合は、スーテントではなく、トーリセルが選択されることもあります。また、例えば、術後の再発予防などのために、インターフェロンの治療歴がある場合などには、ネクサバールなどを用います。ただし、転移が肺だけに限られているならば、インターフェロンでの治療を行うという方法もあります。骨や肝臓へ転移している場合は、スーテントによる治療が望ましいですが、転移が肺のみであれば、インターフェロンも効果的です。

インターフェロンは、発熱やうつなどの副作用もありますが、他の腎がん治療薬よりも副作用が少なくてすみます。一方スーテントは、手足症候群や骨髄抑制、高血圧、甲状腺機能低下、脱毛、下痢などの副作用があります。また、インターフェロンは皮下注射する薬剤で、自己注射も可能です。スーテントは飲み薬です。

この方の場合、スーテントの治療で問題ないと思います。さらに、前述のような副作用や治療のしやすさを考慮して、インターフェロンでの治療を検討したいのであれば、主治医と相談されたらいかがでしょう。

スーテント=一般名スニチニブ トーリセル=一般名テムシロリムス インターフェロン=サイトカインの一種。ウイルス増殖の阻止や細胞増殖の抑制を行う ネクサバール=一般名ソラフェニブ

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