舌の再建後、後遺症に悩む
2年前に舌がんと診断され、手術で舌の3分の2を切除し、再建術を受けました。そのあと、発声がうまくできません。また誤嚥でも悩んでいます。対処法はあるのでしょうか?
(東京都 男性 50歳)
A リハビリも進んでいる
頭頸部のがん治療の課題は、形態や機能の維持・再建を考慮するということです。呼吸や摂食、嚥下(飲み込むこと)、構音(発音)といった生命の維持やコミュニケーションに欠かせない機能があるため、それを維持する治療を考えなければなりません。
切除する範囲が大きければ、その部分を再建しなければなりませんし、円滑な動きも求められます。大きく取れば取るほどしゃべりにくい、食べにくいなどの障害は必然的に出てきてしまいます。
舌を大きく切除した場合には、大腿や腹部、腕の皮膚や筋肉を移植して再建術を行います。多くの病院では形成外科が担当します。
これは1980年代から行われてきた手術法で、さまざまな研究により工夫が凝らされたものの、それにも限界はあり手術前と同じような働きを取り戻すことは難しいのが現状です。
相談者の場合は、手術から2年経っているということなので、今以上の改善を期待するのは難しいかもしれません。
しかし、最近はリハビリの技術も進んでいるので、そちらを受けてみるのはいかがでしょう。
リハビリテーションでは、言語聴覚士という資格の人たちが嚥下から話すことまでのリハビリを担当しています。舌の筋力をつけたり、動きをスムーズにしたりといったトレーニングをしているのです。
例えば、舌を左右に動かしながら器具で圧力をかけ、各方向に5秒間ずつ保持する練習があります。
周囲の協力と理解も大切です。食事の内容について、ご飯を軟らかくしたりするとともに、どうしても食べるスピードが遅くなるので、ゆったりと食事時間をとることも助けになります。ともすると、急いで食べてしまい、むせることにもなってしまいます。
ご本人としては、外食ができるようになったり、電話で話ができるようにまでなれば、じゅうぶんな成果だと思います。