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多彩な種類、治療法も様々 生存率の改善と最近の話題

血液がんの基礎、データでみる治療成績の変遷(年次推移)と最近の話題

監修●鈴木憲史 日本赤十字社医療センター副院長/血液内科部長
取材・文●「がんサポート」編集部
発行:2015年6月
更新:2019年7月

  

日本赤十字社医療センター副院長の鈴木憲史さん

種類も治療法も多岐にわたる血液のがん。新しい治療薬の登場で、一昔前に比べて生存率も飛躍的に高まってきている。同時に解決を必要とする課題もまだ多く残されている。

血液がんの基礎的な知識のまとめと、最近の話題を拾った。

血液がんの特徴

血液がんには多くの種類があります。性質も様々ですが、一番特徴的な白血病で見ると、皮膚や臓器にできるがん(固形がん)とは異なった増殖の仕方をします。

固形がんは組織に癒着して腫瘍を形成していきますが、白血病では組織に癒着することなく、細胞1つひとつが同時にがん化していきます。

悪性リンパ腫や多発性骨髄腫は、固形がんと白血病の中間的な性質で、リンパ節や骨髄にがん細胞が集まって固まりを形成します。

造血幹細胞の分化・成長と がん化のプロセス

血液がんは、造血幹細胞の分化・成長の過程で異常な細胞が生じることで発生します。血管の中には、血漿という液体成分の中を赤血球や白血球、血小板といった血液細胞が流れています。

赤血球には全身に酸素を運ぶ役割、白血球には体内に入ってきた細菌などの異物を除去する役割、血小板には出血を抑える働きがそれぞれあります。

そして、これらの基になっているのが骨髄(骨の中心部の組織)にある造血幹細胞です。造血幹細胞は多様に分化し、いろいろな血球に成長する機能も持っており、最終的に赤血球などの血液細胞になります(図1)。

図1 造血幹細胞の分化と成長

しかし、その分化・成長過程で細胞ががん化する可能性があるのです。通常は、血液細胞になると、約2週間で骨髄から血管に入り、それぞれの役目を果たした後、自然に死滅し新しい血液細胞にバトンタッチします。

この過程のどこかで細胞にがん化が起こると造血サイクルに乱れが生じ、未熟な異常細胞が極端に増殖したり、生き残り続けたりして、血液がんを発症します。

血液細胞のがん化は、染色体や遺伝子の異常が引き起こすと考えられています。一部の血液がんでは、原因となる遺伝子や染色体が明らかにされており、検査や治療に生かされています。

血液がんの種類

血液がんの代表的なものは、白血病、悪性リンパ腫、多発性骨髄腫の3つです(図2)。この3つが血液がんのほとんどを占めていると言えます。

中でも悪性リンパ腫はいわゆる5大がん(胃がん、肺がん、大腸がん、乳がん、肝がん)に次いで多く、人口10万人に対して10人が罹患しています。

どの血液がんになるかは、どのような細胞がいつがん化したかで決まります。

白血病は骨髄中の未熟な造血幹細胞ががん化したものです。

悪性リンパ腫は骨髄中のリンパ球ががん化したもの、多発性骨髄腫は骨髄中の形質細胞(リンパ球のB細胞が成熟したもの)ががん化したものです。白血病には、図3のようなさらにいろいろなタイプがあります。

図2 3大血液がん
図3 白血病の主な分類

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