化学療法が著効する病型や、経過観察が選択肢になる場合もある
悪性リンパ腫は病型ごとに適切な治療を
しっかり受けてほしい」と
話す伊豆津宏二さん
悪性リンパ腫には、数十の病型があり、病変も様々な臓器に生じる。病型ごとに異なる治療法を適切に選んでいく必要がある。今回は、日本人に多い3つの病型、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、濾胞性リンパ腫、MALTリンパ腫について、最新の治療法と考え方を紹介する。
患者数が多いのは3病型
悪性リンパ腫はリンパ球(白血球の一種)由来のがんである。60~70歳代に多い病気だが、若い年代でも発症する(図1)。日本での年間罹患者数は、男性が約1万2,000人、女性が約9,500人。1年間で計2万1,500人ほどが、この病気になっている。
虎の門病院血液内科部長の伊豆津宏二さんによれば、罹患数は血液がんの中では最も多く、白血病の2倍ほどになるそうだ。「悪性リンパ腫には様々な病型があり、数十種類に分類されます。患者数が多いのは、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、濾胞性リンパ腫(FL)、MALTリンパ腫の3つです(図2)」
ここではこの3病型について解説していくことにしよう。
悪性リンパ腫は、進行の速さによって、3つに分類されている。数日から数週間で進行する高悪性度、数週間から月単位で進行する中悪性度、月から年単位で進行する低悪性度の3つである。
高・中悪性度をアグレッシブ(急速進行型)リンパ腫、低悪性度をインドレント(緩徐進行型)リンパ腫と呼ぶこともある。びまん性大細胞型B細胞リンパ腫は中悪性度、濾胞性リンパ腫とMALTリンパ腫は低悪性度である。
病変の部位でステージが決まる
悪性リンパ腫になると、リンパ節が腫れることが多いが、それ以外の臓器に病変が現れることもある。
「自覚症状がある場合と、ない場合があります。リンパ節が腫れても、それが体の奥だと患者さんは大きくなるまで気づかず、健康診断などの超音波検査で、たまたま見つかることがよくあります。体の表面近くのリンパ節が腫れた場合は、患者さん自身が気づくこともあります」
悪性リンパ腫の診断には、病変部の細胞や組織を調べる病理検査が必要となる。体の奥のリンパ節を調べるため、腹腔鏡手術が行われることもある。
「病期は、病変部の位置によってステージⅠ~Ⅳに分け、B症状がなければA、あればBとします(図3)。ステージⅠとⅡが限局期、ステージⅢとⅣが進行期です。進行期は、末期という意味ではありません」
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