編集部の本棚 2021/2Q
『死の恐怖を乗り越える』
佐々木常雄著 河出書房新書 定価1,300円(税別)
「2,000人以上を看取ったがん専門医が考えてきたこと」との副題がついた本著の著者は、「がんサポート」で「腫瘍内科医のひとり言」を連載されている東京都立駒込病院名誉院長の佐々木常雄さん。
医師として50年、がん患者と向き合ってきた著者は、「死に直面し奈落に落とされたとき、人はどう考え、どう乗り越えられるのだろうか」、考え続けてきた。
「治療法がないと告げられた、それでも生きたい!」と願う患者にどう応えればいいのか、その答えを求めながら治療する日々だった。そこには、ともすれば医療の進化の陰で置いてきぼりにされがちながん患者の心に、寄り添っていこうとする腫瘍内科医のあたたかい眼差しがあった。そして、様々な患者とのエピソードを通して導き出した〝答え〟がここにある。困難に立ち向かう術は人それぞれだが、本著はそれを応援していてくれる。
がん患者・ご家族はもちろんのこと、がん医療に携わるすべての医療者にも読んで欲しい1冊だ(松)。