野崎洋光と牛込紀子の「和のテイストで、免疫力アップ・レシピ」
春の新鮮な食材で芽吹きの力をいただこう
今回の一膳、鯛ご飯の鯛は春の季語です。
日本は料理そのものが文学的です。
日本には季節を映す季語にちなんだ料理も多く、昔から季節と食は密な関係があります。
季節を豊かに味わいながら、旬の食材のおいしさを楽しみ、春の芽吹きの力をいただきましょう。
鯛ご飯
材料(2人分)
・米……2合
・鯛……150g
・塩……少々
・木の芽……適量
A
・水……300ml
・薄口醤油……30ml
・酒……30ml
作り方
① 米は研いで15分水に浸けたあと、ザルに15分とり、水気を切っておく。
② 鯛は一口大に切って塩を振り、20~30分おく。熱湯にさっと通して冷水にとり、汚れなどを除いて水気を拭く。
③ 炊飯器に米を入れ、水、酒、薄口醤油を加えて混ぜ、高速炊きで炊く。蒸気が上がり始めて少しおいて米が見えたら鯛をのせ、炊き上がったら4~5分蒸らす。
④ 鯛を飾り用に少しとり分け、底から大きく混ぜて茶碗に盛り、とっておいた鯛をのせて木の芽を飾る。
※写真は土鍋ですが、レシピは炊飯器で炊く場合です。
ウドとわかめの酢の物
材料(2人分)
・ウド……1/2本
・わかめ……50g
・菜の花……4本
A
・だし汁……大さじ3
・酢……大さじ2
・薄口醤油……大さじ1
・みりん……大さじ1
作り方
① Aを合わせ、ひと煮立ちさせて冷ましておく。
② ウドは4センチに切り、厚めに皮を剥き、短冊に切って酢水につけておく。
③ わかめは水で戻して一口大に切る。
④ 菜の花は水につけてシャキッとさせてから色よくゆで、冷水にとり、5センチ位の長さに切る。
⑤ ②~④を合わせて器に盛り、Aをかけていただく。
あさりとそばの実汁
材料(2人分)
・そばの実……30g
・あさり……120g
・きぬさや……5枚
・なめこ……30g
・わけぎ……適量
・水……300ml
・薄口醤油……10ml
・酒……5ml
作り方
① あさりは水につけて5分ほど塩抜きしておく。
② わけぎは小口に切っておく。きぬさやは筋をとり、色よくゆでて、正方形に切っておく。
③ なめこは水からゆで、沸騰したらザルにあげる。
④ 粒そばを洗い、水に15分ほど浸して水気を切る。
⑤ 鍋に水と①のあさり、③のなめこと④の粒そばを入れ火にかける。
⑥ あさりの口が開いたら、薄口醤油と酒で味を整える。仕上げにきぬさやとわけぎを散らす。
ポイント
なめこは熱湯でゆでて臭みをとりましょう。
「草木がいよいよ芽吹く月」
「弥生」(3月)、この季節の海では魚貝類が産卵を控え、美味しさの目白押しです。
魚の王様、産卵前の鯛は「桜鯛」と呼ばれ、季語にもなるほど。鯛は春が一番美味しく、ビタミンB1が豊富です。ビタミンB1は糖質をエネルギーに変え、脳や神経の働きを良くします。春に芽吹いた木の芽を添えて消化を助けます。
春の汁はあさりが主役です。あさりはビタミンB12を豊富に含みます。そのビタミンB12は神経を正常に保ち、記憶力や集中力を高めるばかりでなく、腰痛や肩こりの緩和にも役立つのです。そこにそばの実を加えて汁を作ります。
そばの実は良質のたんぱく質を含み、消化が良いものです。そばの実に含まれるルティンは毛細血管を強くして、血液の流れを良くします。ルティンは水に溶けやすいのですが、汁物にすれば溶け出た栄養素を余すことなくいただけます。
もう1品はウドとわかめの酢の物です。ウドの香りと苦味は食欲を増進させるばかりでなく、腸を整えます。この苦味は、ウドならではの旨み。この独特の苦味と歯ごたえを楽しみましょう。わかめは栄養価の高い食品です。ヨウ素は代謝を良くし、余分な体脂肪を燃焼させる働きがあります。髪や爪に健康を保つ力も持っているので、1日1回はいただきたい食材です。
春の新鮮な食材で芽吹きの力をいただいて、身も心も軽やかになりましょう。
野崎洋光 のざき ひろみつ
1953年福島県生まれ。「東京グランドホテル」「八芳園」を経て、ふぐの名店「とく山」の料理長を務め、1989年に支店「分とく山」を開店。伝統的な和食の技法をふまえつつ、シンプルで美味しいもの、体にいいものを主眼に独自の料理を展開。アテネ五輪日本代表野球チームの料理を担当、話題を呼ぶ
牛込紀子 うしごめ のりこ
東京都出身。栄養士。食品メーカーでメニュー提案などを担当、現在に至る。「食べものが身体をつくる」を基本に素材の持ち味を生かした、身体にやさしくておいしいメニューづくりに奮闘中。「野菜をこよなく愛する」ことと「食べものへの好奇心を失わないこと」が信条。子どものころから根っからの野菜好き
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