野崎洋光と牛込紀子の「和のテイストで、免疫力アップ・レシピ」
栄養価が高い初かつおで、夏本番前に活力を補充する
かつおのおいしい季節がやってきました。
今回は、初夏の訪れを感じさせる魚、かつおを使ったメニューです。
栄養価が高く、さっぱりとした味が特徴の初かつおで、お寿司を作ります。
自然に逆らうことない、時の食材とともに淡味が夏の装いの食事です。
夏の淡い旨みを楽しみながら、夏本番前に元気の源を補充しておきましょう。
かつお手こね寿司
材料(2人分)
・米……2合
・水……320cc
・かつお……160g
・大葉……6枚
・海苔……2枚
・白煎り胡麻……大さじ1
・生姜……小1/2かけ
A
・醤油……60cc
・みりん……30cc
B
・酢……35cc
・塩……10g
・砂糖……30g
作り方
① かつおは、そぎ切りにしておく。Aにおろし生姜を入れて、かつおを漬け込み、途中で返し、20分ほど置く。ペーパータオルで、汁気をとる。
② 米は洗って15分浸水後、水を切り、15分ザルにあげておく。炊飯器の場合、早炊きモードで炊く。
③ Bを合わせ、②のご飯に軽く混ぜ合わせて寿司飯を作る。
④ ボールに寿司飯と①のかつお、ちぎった大葉を入れ、しゃもじで素早く混ぜ合わせる。
⑤ 器に盛り付け、ちぎった海苔と胡麻をふる。
ポイント
量が多い場合は、手でこねて作ります。量が少ない場合は、しゃもじで手早く混ぜて作ります。
あさりトマト汁
材料(2人分)
・あさり……150g
・水……300cc
・トマト……小1個
・ニラ……3本
・昆布(3センチ×3センチ)……1枚
・薄口醤油……小さじ2強
作り方
① あさりは真水に3分ほどつけ、塩分を出す。
② トマトは、くし型に4等分に切る。ニラは、3センチに切る。
③ 鍋に①のあさりと水、昆布、トマトを入れ、火にかける。途中、トマトの皮がむけてくるので皮をとりだす。
④ 薄口醤油で味を調え、仕上げにニラを入れてさっと火を入れ、器に盛る。
ポイント
トマトは湯むきをしなくても、汁の中でむけるので手間が要りません。
椎茸とごぼうの煮物
材料(2人分)
・干し椎茸……5個
・水……250cc
・ごぼう……100g
・しらたき……50g
・わけぎ……2本
・昆布(5センチ×5センチ)……1枚
A
・干し椎茸戻し汁……200cc
・みりん……大さじ2
・醤油……大さじ1
作り方
① 干し椎茸と昆布を、分量の水に浸しておく。柔らかくなったら軸を切り、3つに切る。昆布も短冊に切り、戻し汁に戻す。
② ごぼうは洗って皮をむかずに、ささがきにしてさっと水で洗う。わけぎは3~4センチに切っておく。しらたきは食べやすい長さに切り、熱湯で茹でて水切りをする。
③ Aと①と②を合わせ、中火で煮汁が半分ぐらいになるまで煮詰め、わけぎを入れて仕上げる。
ポイント
ごぼうは、皮つきのまま使うと 香り良くいただけます。
かつお手こね寿司は季節の魚、かつおで手早く作ります。「づけ」に漬けこんだかつおは寿司飯になじみ、味をつなげます。かつおは、赤味の魚で鉄分が豊富です。体内にある鉄の60パーセントは赤血球のヘモグロビンの構成に使われます。酸素と結びつき、体のすみずみにまで酸素を運搬する働きがあり、元気の元となります。実は、免疫機能にも大いに関係して粘膜の免疫力アップに役立ちます。胡麻は、大さじ1で鉄1ミリグラムを摂ることができます。寿司飯の酢のクエン酸は、炭水化物の吸収を助けます。
あさりトマト汁はだしを入れず、素材から出る旨みで美味しくいただけます。あさりは鉄、銅、亜鉛などのミネラルや造血ビタミンであるB12を含みます。とくにビタミンB12は貝類の中でも多く含まれ、正常な赤血球を作り出し、末梢神経の傷を治す働きもあります。ビタミンB群は、水溶性なので汁までいただくこの献立はとても理にかなっています。
椎茸とごぼうの煮物は、動物性たんぱく質を使わずに仕上げます。新ごぼうはナトリウムの量を調整し、腎臓の老廃物の排出を助けるカリウムと繊維質をたっぷり含みます。干し椎茸も、ビタミンDを多く含みます。ビタミンDはカルシウムやリンを骨に取り込み、丈夫な骨や歯を作るために貢献します。干し椎茸のビタミンD含有量は、生の約10倍になります。干し椎茸2枚に含まれるビタミンDは、1日に必要な量のほぼ1/3になります。
滋味深い味を楽しみ、体で季節を感じましょう。
野崎洋光 のざき ひろみつ
1953年福島県生まれ。「東京グランドホテル」「八芳園」を経て、ふぐの名店「とく山」の料理長を務め、1989年に支店「分とく山」を開店。伝統的な和食の技法をふまえつつ、シンプルで美味しいもの、体にいいものを主眼に独自の料理を展開。アテネ五輪日本代表野球チームの料理を担当、話題を呼ぶ
牛込紀子 うしごめ のりこ
東京都出身。栄養士。食品メーカーでメニュー提案などを担当、現在に至る。「食べものが身体をつくる」を基本に素材の持ち味を生かした、身体にやさしくておいしいメニューづくりに奮闘中。「野菜をこよなく愛する」ことと「食べものへの好奇心を失わないこと」が信条。子どものころから根っからの野菜好き
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