FP黒田尚子のがんとライフプラン 3

早めにしておけば安心!お金に関する身辺整理

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2014年5月
更新:2014年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

今回は、イザという場合に備えて、〝お金に関する身辺整理〟についてです。「万が一自分の身になにかあれば」とは、誰しも考えることですが、がん患者であればより問題は切実。ご家族はもちろんのこと、自分にとっても早めに財産の棚卸しをすることで、気持ちもスッキリ落ち着きます。

「万が一のときの身辺整理」といっても、何かしておかなければ、と焦るばかりで、どこから手を付けて良いのかわからず、結局何もできていない……そんな人がほとんどだと思います。私も、がん告知のときに「5年生存率50%」と医師から宣告され、当時は「たった5年なんて、一体どうしたらいいんだろう」と途方に暮れました。

そこでお勧めするのが、まずお金に関する問題から整理してみる方法です。とりわけ、治療が長期にわたる可能性の高いがんの場合、治療費をどこから捻出するかなど、マネープランを立てることは非常に重要です。
その意味でも、手持ちの資産の棚卸しを兼ねたお金の身辺整理をしてみてはいかがでしょうか?

具体的な方法として、一番わかりやすいのは一覧表にしてみることです。表計算ソフトなどを使ってまとめても良いですし、市販のエンディングノートなどには、必ず資産の記入欄が設けられています。

一覧表にするメリットは、❶口座の存在や保有資産などを明確にできる❷自分でも新たな発見がある、の2つが挙げられます。

❶は一覧表として記録しておくことで、ご自分に万が一のことがあっても、預金口座等がどの金融機関にあるのか、ご家族などが知る〝手がかり〟を残せます。重要なのは金額(残高)より、金融機関名および支店名です。少なくとも、この情報さえあれば照会等が可能です。そして❷は自分自身が整理の途中で、使っていない金融機関を発見すれば、早めに解約などの手続きしておけるということです。

実は、ご本人が亡くなった後の口座の解約は、とても面倒。私の父や祖母が亡くなったときも、口座を解約するために、戸籍謄本や印鑑証明などの必要書類を市役所から取り寄せたり、銀行の窓口に何度も出向いたり。お金も時間も手間もかかってグッタリでした。

10年以上入出金がまったくない口座のことを「休眠口座」といいますが、金融庁の調査によると、休眠口座の預金は、毎年約850億円も発生しているとのこと。この際、使っていない口座はスッキリ整理してしまいましょう。

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