FP黒田尚子のがんとライフプラン 5

〝おひとりさま〟のがんに対する備えをどう考えたら良いか?

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2014年7月
更新:2015年10月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

少子化、高齢化、非婚化等の影響で、今や全世帯に占める単身世帯〝おひとりさま〟の割合は3割を超え、今後も増加傾向にあります。お金も時間も自由に使えて、優雅な独身生活を満喫している間はいいでしょう。ところが、がんと告知されると状況が一変。家族や親族など、誰も頼る人がいないときはどうしたら良いのでしょうか?


おそらく〝おひとりさま〟のがん患者が最初の問題に直面するのは、治療のため入院や手術の際の病院から提出を求められる同意書のサインかもしれません。保証人の欄に家族や親族などの名前を記入するのが通常ですが、〝おひとりさま〟は適当な人が身近にいないこともあります。

家族や親族のサインというのは、入院費や治療費の未払いリスクや、治療に失敗した場合の訴訟リスク等を軽減するため、あるいは患者が亡くなった場合の引き取り等におけるトラブルを避けるためのものです。

また、全て自分中心に考える米国と違って、日本人は家族とのつながりを重視してきたという文化的な背景からか、病院側も症状や治療方針の説明など家族重視の対応を行っているという実情があります。

私自身も20代後半に子宮筋腫核摘出手術を受けた際には、同居家族がいない典型的な〝おひとりさま〟でした。そのため同意書のサインは、当時勤務していた上司にお願いし、治療の説明はすべて自分1人で受けました。

ただし、がんの場合は仕事や医療費、後遺症など、治療後も長期にわたって再発の不安を抱えながら、がんと向き合っていかなければなりません。そんなときに、患者にとって不安な気持ちを受け止め、アドバイスや傾聴してくれる身近な人の存在は大きな支えになります。

そのためにも、日頃から友人・知人とコミュニケーションを取ることを心がけ、同意書のサインも含め、身の回りのことを気軽に頼める人間関係作りを意識的に作っておくのです。

■おひとりさまのがん対策

❶がんに罹患しにくい生活を心掛ける(喫煙、食事、飲酒、運動など)
❷かかりつけ医を持ち、定期的に適切ながん検診等を受ける
❸家族や友人・知人、同僚、ご近所とのコミュニケーションを円滑にしておく
❹緊急時の医療情報セット(病歴、保険証(写)、お薬手帳(写)、緊急時の連絡先)を準備しておく
❺経済的備えをしておく(預貯金+がん保険・医療保険・所得補償保険など)
❻経済的なことも含めた悩みを相談・解決できる先を見つけておく

上記の〝おひとりさま〟のがんになった場合の備え方のポイントの一覧も参考にしてみてください。

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