FP黒田尚子のがんとライフプラン 11

医療費が10万円を超えたら還付が受けられる!「医療費控除」活用法

黒田尚子●ファイナンシャル・プランナー
発行:2015年2月
更新:2019年8月

  

くろだ なおこ 1992年大学卒業後、大手シンクタンク勤務中にFPの資格を取得。98年にFPとして独立後、個人に対するコンサルティング業務のかたわら、雑誌への執筆、講演活動などを行っている。乳がん体験者コーディネーター

毎年2月中旬から3月中旬は確定申告の季節です。昨年、医療費をたくさん支払った人は医療費控除の申告をして、税金の還付を受けましょう。医療費控除は年末調整では受けられませんので、会社員も無関係ではありません。勘違いしている人も多いのですが、病院や健康保険から医療費が戻ってくるのではないので、くれぐれもお間違えのないように。


医療費控除とは、同じ年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費が一定額を超える場合、確定申告することで支払った税金が戻ってくる制度です。医療費控除を申告すれば、所得税とともに住民税も安くなるというメリットがあります。

医療費控除は、負担した医療費が10万円を超えれば適用が受けられます。ただし、医療費が10万円に達していなくても、年間所得が200万円未満(収入が給料だけの場合、年収が約310万円未満の人)の場合、医療費がその5%以上であれば控除できます。

例えば、所得150万円の人は7万5,000円以上の医療費を支払っていればO.K.です。年間所得は源泉徴収票の「給与所得控除後の金額」の欄に載っているので、チェックしてみましょう。

なお、その医療に対して保険金や高額療養費などを受け取ったときは、計算の際にその金額を差し引いておくこともお忘れなく。

対象となる〝医療費〟にも注意が必要です。医療費控除では、健康保険の対象にならない入院や通院時の交通費や薬局で買った治療薬などの費用も申告できます(図表参照)。

■医療費控除の対象になるもの、ならないもの

◎医療費控除が認められる判断基準

医療費控除が認められるか否かの判断基準は「その費用が治療のために使ったものかどうか」です。ただし、治療の副作用等のために購入したウィッグや帽子、専用下着などは、「治療」を目的としたものではないため、対象にはなりません。

また、医療費控除はその医療費を実際に負担した人が申告することになっていますが、同じ生計の家族のために払った医療費をまとめて申告することもできます。共働き家庭の場合なら、収入が多くて所得税率の高い人が申告すれば、戻ってくる金額が増えるので有利です。

とはいえ、「税金の申告なんて、やったことがないし大変そう……」という人にお勧めなのが、国税庁HPの「確定申告書等作成コーナー」を利用する方法。

画面上で申告に必要な項目を入力すれば、税額が自動的に計算されます。これをプリントアウトすれば申告書として提出可能ですし、税務署に出向かなくても、住居地を管轄する税務署に郵送するだけで手続きが済みます。

さらに、そのまま「e-Tax(電子申告)」を選択すれば、郵送する手間もかからず、すべてネット上で税金の申告や納税などが完了します。ご自分のニーズに合わせて申告方法も選びましょう。

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