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知って得するさまざまな制度(2) 医療費控除

文:山田由里子 社会保険労務士
発行:2005年4月
更新:2019年8月

  

多額の医療費を支払った場合は確定申告によって、所得税を払い戻してもらえます。通院のための交通費、緊急を要して使用したタクシー料金なども対象になります。

どんな制度か

一定限度を超えて医療費を支払った年は、確定申告をすれば所得税の還付を受けることができます。これを医療費控除といいます。

まず所得税のしくみについて簡単に説明しましょう。所得税は、収入から基礎控除や扶養控除などの各種控除を差し引いた残りの課税所得に所得税率をかけて算出します。ですから控除できる金額が多ければ多いほど課税所得は少なくなり、その分税金も少なくなります。また、日本は所得の多い人ほど税金が高くなる累進課税ですから、同じ額の医療費控除でも所得の多い人ほど還付される税金は多くなることになります。

医療費控除の制度は、還付を受ける本人のほか、配偶者や扶養親族、生計をともにする親族のために支払った医療費を合計して所得の金額から控除することができますので、一家に働き手が複数いる場合には、所得の高い人(所得税率の高い人)にまとめて控除を受けるのが賢い方法です。

医療費控除の額は「医療費の総額-医療費を補てんする保険金等の金額-10万円(所得200万円以下の場合はその5パーセント)」となっていて、200万円が限度です。

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例 夫の所得税率30%、妻の所得税率10%(妻の所得は200万円以上)、世帯合計の医療費総額30万円の場合
   ・夫で医療費控除を受けた場合の還付額 (30万円-10万円)×30%=6万円
   ・妻で医療費控除を受けた場合の還付額 (30万円-10万円)×10%=2万円

医療費控除の効果は、所得税だけではなく住民税にも及びます。しかし、あくまでも払いすぎた税金をもどす手続きですから、最初から収入のわりに扶養家族が多いなど所得税が少ない(またはかかっていない)場合は、戻る税金も少ない(またはない)ことになります。

対象となる医療費

医療費控除の対象となる「医療費」とは、「治療に要した費用」です。したがって、病気の予防や健康増進のための出費は認められません。また、通院のために使用した公共交通機関の交通費、緊急を要して使用したタクシー料金なども対象となります(本人分のみ)が、マイカー通院の費用は認められません。本人の都合だけのための差額ベット代は認められませんが、治療上必要だった個室代は対象になります。

申請の方法

還付を受ける年の源泉徴収票、医療費の領収書、生命保険の入院給付金や高額療養費で支給された金額がわかる書類、所得税の確定申告用紙、医療費の明細書、還付金を振込んでもらう銀行の口座番号、認印を用意します。確定申告の用紙は税務署でもらいます。そのときに医療費の明細書や「医療費控除を受けられる方へ」というリーフレットももらいましょう。医療費控除の対象となる医療費や申告書の記載例などが丁寧に解説されています。

確定申告は、2月16日から3月15日までの期間に居住地の税務署で手続きをします。この時期になると無料相談会も開かれますので利用するとよいでしょう。

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