「インプラントによる乳房再建手術」が7月から保険適用に!

みんなが納得できる〝乳房再建〟実現を!

取材・文●町口 充
発行:2013年8月
更新:2013年11月

  

乳がん手術で失った乳房を取り戻す乳房再建。これまで全額自己負担だったインプラント(人工物)による乳房再建に、今年7月から公的保険がきくようになった。しかし、その範囲に関して、患者支援団体などは、「保険適用になったのは患者さんの多くが希望する方法ではなく、あくまで第一歩。みんなの納得のいく方法での再建を実現させたい」と、厚生労働省や医療関係者への働きかけをいっそう強めている。


KSHS代表の溝口綾子さん

KSHS(きちんと手術・ホンネで再建の会)
〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-2
ゲートシティ大崎イーストタワー1F ナグモクリニック内
TEL:03-3490-5757
info@kshs-japan.net
http://www.kshs-japan.net/

乳房を再建したいという思い

乳がんの患者さんにとって、手術で乳房を失うことは体の傷以上に心に痛みを残します。また、体のバランスが変わる、温泉に入りにくいなど、生活面での過ごしにくさもあり、手術で失われた乳房の再建をしたいと考える人は多くなっています。

乳がん治療・乳房再建を経験した人たちが集まり、乳房再建の相談に乗ったり、セミナーや交流会を開催したりしているのが「KSHS」です。

KSHSとは「きちんと(K)手術(S)・ホンネで(H)再建(S)の会」の略です。

同会の代表を務める歯科衛生士、溝口綾子さんも、乳房再建によって“乳房”を取り戻した1人です。

2007年の春、地元自治体の乳がん検診で右胸に異常が見つかり、がんとわかりました。しかもかなり大きくなっていて、医者からは乳房全摘の手術を勧められました。

「お医者さんからは『乳房温存手術なら再建はできないが(編集部注・現在は可能)、全摘なら再建できる』と言われ、全摘して再建するのを楽しみにしていたんです。

でも、手術前に抗がん薬治療を行ったところ、大きかったがんが小さくなって、今度は温存手術を勧められました。再建できないことにちょっとガッカリして、渋々同意したところ、『温存というと普通は喜ぶのに、ガッカリしたのはあなたぐらい』といわれたんです」

笑いながら、溝口さんは当時を振り返ります。

治療をがんばった自分へのご褒美

KSHSでは、年に1度ミステリーツアーを企画。このときの目的地は、温泉だった

ところが、手術直前の検査で、離れたところに抗がん薬から生き残った腫瘍があることが判明。結局、手術は全摘に変更となりました。全摘なら同時再建という選択肢がありましたが、急だったため全摘手術のみを行いました。

手術は無事に成功したものの、「右胸はぺちゃんこな、あばら骨が浮き出たやせた男の人の胸みたいになりました」と溝口さん。

患者会などで再建した“先輩”の胸を見せてもらったり、触って感触を確かめたりするうち、もとどおりの胸のふくらみを取り戻したいという思いが募っていきました。そんななか、「キャンサーギフト」という言葉を知ったのです。

「がんがくれた贈り物、という意味です。物質的なもの以外の、人との出会いとか、思いやる心、感謝する心といったことも含まれます。私の場合は、乳房再建はがんに負けずにがんばってきた自分自身へのご褒美だと思いました。左右そろったキレイな再建をするため、もともと胸が小さくてコンプレックスもあったので、がんではなかった左胸の豊胸手術も同時に受けることにしました」

全摘手術から半年後、再建手術と豊胸手術を同時に行い、納得のバストを手に入れた溝口さん。今度は自分が乳がんの患者さんたちをサポートする側に回りたいと、2009年に設立したのがKSHSです。

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