有機溶剤によるがん発症に補償を!

「若年胆管がん」は労災を疑ってみる職業がんが見過ごされないシステムを!

取材・文●阿鹿麻見子
発行:2013年7月
更新:2013年10月

  

校正印刷会社の現・元従業員に多数の「胆管がん発症者」がいることが明らかになったのが、2012年5月。その後、多くの患者さんで労災認定がされてきた。ただし、これは氷山の一角だともいう。有機溶剤を多量に使う職場で働いた経験がある人、また、若年で胆管がんを発症した人は、職業がんである可能性も高い。「まずは、病院で検査を受けてほしい」と被害者の会のメンバーは呼びかけている。


「SANYO-CYP胆管がん被害者の会」事務局長の片岡明彦さん
同「被害者の会」本田真吾さん
同「被害者の会」野内豊伸さん

SANYO-CYP胆管がん被害者の会
〒540-0026 大阪市中央区内本町1-2-11
ウタカビル201 関西労働者安全センター内
TEL:06-6943-1527 FAX:06-6942-0278

職場での有機溶剤が原因で胆管がんを発症

「疲れやすさは感じていたものの、普通に生活をし、とくには症状がなかったのです。ところが、2006年夏の健康診断で肝機能のγ-GTPの検査値だけが高く、大きな病院を受診したときには1300まで上がっていて驚きました。医師には、職場で有機溶剤を使っていること、同僚のなかにも今の職場で働き始めてから数値が高くなった人が複数いることを伝えました」

こう話す本田真吾さん(31)は、大阪の校正印刷会社で働いていて胆管がんを発症、2013年3月労災認定されました。

当時、本田さんはすぐに上司に交渉して部署を異動。2週間後に肝機能が改善されたため、検査値の異常が有機溶剤によるものと確信し、6年間勤めた会社を退職しました。これは、同社従業員の多数が胆管がんの労災を請求していることが報道された2012年3月からさかのぼること6年前、25歳の秋でした。

「オフセット印刷機のブランケットローラーのインキ洗浄剤として揮発性が高い有機溶剤を大量に使用していました。この溶剤の半分が還流して部屋に戻るという換気の悪さに加え、手袋やマスクの支給もなく、有機溶剤をたっぷり染み込ませたウエスで1日に何百回も、鼻先の位置にあるローラーを拭き続けるんです。忙しいときは休憩もとらずに働きました。地下の作業場は臭いが充満し、気分が悪くなるほどの悪環境でした」

若年者が胆管がん?確定診断まで6年も

投薬による経過観察中に肝機能の数値は落ち着いたが、疾患は特定できませんでした。担当医は2007年12月の時点で胆管がんの疑いをカルテに記載しており、以来、肝内胆管がんを懸念して定期検査を続けたところ、2012年秋に腫瘍マーカーが上昇。胆管がんの特別外来が新設された大阪市立大学医学部附属病院に転院して肝生検を行い、胆管がんと診断。

本田さんは同11月、がんに侵された肝臓の60%と肝内胆管、胆のうと肝外胆管を切除し、腸を持ち上げて肝臓につなぐ13時間に及ぶ手術を受けました。現在は、4週服薬2週休薬の抗がん薬治療を続けています。

「通院を始めたころ、細い胆管が少し膨らんでいると医師に言われました。ただし、若い人の胆管がんは非常に稀なため、疑いはあるものの、原発性硬化型胆管炎くらいしか考えられないとのことでした。去年の報道でようやく、胆管がんの可能性が検討されるようになり……」

本田さんは肝機能検査で異常が出てから確定診断・手術までの長かった6年間を、複雑な思いで振り返ります。

■職業胆管がん問題とは

大阪市の印刷会社SANYO-CYPで、色校正を行う印刷機の洗浄作業を有機溶剤ジクロロメタン及び1,2-ジクロロプロパンを使って行なっていた現・元従業員17人が胆管がんを発症し、8人がすでに死亡した問題が、複数の遺族・患者からの労災申請により、2012年5月に発覚した。印刷業に限れば2013年4月末時点で68件(遺族43件を含む)の労災請求がある

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