胆嚢がん術後の再発予防には、どんな治療がよいか

回答者:森実 千種
国立がん研究センター中央病院 内科医師
発行:2010年2月
更新:2013年11月

  

胆石を取り除く治療を受けたときに、偶然、胆嚢がんが見つかりました。早期なので、手術で切除する予定です。お尋ねしたいのは、手術後の再発予防についてです。どんな補助化学療法が必要なのでしょうか。再発した場合、どんな治療をしたらよいのでしょうか。最新の治療法がありましたら、教えてください。

(島根県 女性 62歳)

A 術後の抗がん剤投与は根拠が乏しい。経過観察を

がん治療では、手術で切除した後に、再発予防として抗がん剤を投与することがあります。いくつかのがん種では、抗がん剤を投与することが再発予防につながることがわかっており、積極的に術後に抗がん剤投与を行うことが推奨されています。このような術後に再発予防を目的として行う抗がん剤を、術後補助化学療法と呼びます。ただ、抗がん剤投与によって副作用も起こるわけですから、メリットとデメリットのバランスを考えないといけません。つまり、抗がん剤の再発予防につながらない場合、抗がん剤投与は副作用というデメリットのみが出てしまうことになります。

胆嚢がんの場合、手術後にどの抗がん剤を投与すれば再発が防げるのかについてはわかっておらず、それどころか、抗がん剤を投与したほうがよいという明確な根拠も乏しいのが現状です。

以上により、現時点では、手術後は特定の抗がん剤投与などは行わず、再発がないかどうかについては定期的に画像や採血などで、経過を見ていくことが適切です。

胆嚢がんは、肝臓や腹部のリンパ節、腹膜への転移が多いため、腹部CTもしくは超音波(エコー)検査は必須です。採血では、腫瘍マーカーも定期的にチェックして参考に用います。

胆道がん(胆管がん・胆嚢がん・乳頭部がん)で上昇しやすい腫瘍マーカーとしては、CEAやCA19-9などが挙げられます。しかし、再発時に必ずこれらの腫瘍マーカーが上がってくるとは限りませんので、あくまでも参考データとしてみていくべきです。

再発した場合には、ジェムザール(一般名ゲムシタビン)とシスプラチン(一般名)の併用療法がスタンダードです。治療内容は、「Q:進行した中部胆管がん。どんな内科的治療があるのか」の回答と同じです。

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