膀胱の再建で 手術前と同じ排尿は可能か
膀胱がん(T2)で手術を受けることになりました。あまり手術後負担にならないような方法を望んでいます。膀胱を再建する方法もあるようですが、これは手術前と変わらないような排尿はできますか?
(59歳 男性 岐阜県)
A 尿路変向術では、回腸導管が多用
回腸導管、尿管皮膚ろう術は、腹壁にパウチを装着して尿を集める方法です。パウチの張り替えは慣れれば数週に1回程度となります。代用膀胱では、腹壁からカテーテルという細い管を腹壁から小腸で袋状の代用膀胱に挿入して溜った尿を回収します。何時間後毎の定期的な処置が必要です。
尿管皮膚ろうでは、尿管の狭窄が起こりやすく、それにより腎機能が障害される場合があります。また代用膀胱でも狭窄が起き、導尿チューブが入りにくくなるなど、今はあまり行われておらず、これらの中で最も多用されているのは回腸導管です。
米国でこの回腸導管の術式が開発されたのは1950年で、すでに長い臨床実績があります。腎盂腎炎などの感染の合併症も少なく、比較的長期間にわたって腎機能もよく維持されるからです。
手術前と同じように尿道から排尿する方法としては新膀胱造設術という手術法があります。こちらは歴史がやや浅く、1980年代後半に開発された手術法です。
この場合、当然ながら大前提として尿道を残しても問題がないという保証が必要です。膀胱がんでは膀胱全摘の後に尿道内にがんが再発することがあるからです。手術時に尿道断端や前立腺導管という箇所にがん病変が認められる場合は禁忌となります。
新膀胱は、袋状に作った小腸を新たな膀胱に見立て、それを尿道の断端と吻合する手術法です。術後も尿道から排尿が可能です。ただし、尿意はありません。何時間後というふうに時間を決めて排尿します。睡眠時にも注意して排尿します。主に腹圧を利用しての排尿となります。仕事を持つ若い方などにはQOL(生活の質)を保て、選択肢の1つとなりうる方法ですが、夜間の尿失禁や、排尿障害、将来的に自己導尿や留置カテーテルのリスクもあります。
基幹病院であれば、ほぼ対応可能と思われます。最近は、各病院のホームページ上で各診療科の診療実績を公表しているところが多いので、参考にするとよいでしょう。